お客様の声
1本の動画が、ブランディング、マーケティングだけでない、さまざま成果をもたらした
1957年創業、産業用ステンレス容器のリーディングカンパニーである日東金属工業。製薬・化粧品・化学・理化学・食品などの工業分野や、医療機器で製造・検査・保存などに使われるステンレス容器をカスタムメイドで製造、国内外のさまざまな企業に提供しています。
クライマークスは、同社の海外向けプロモーションムービー(コーポレートムービー)を制作。今回、同プロジェクトの担当者であったお二人に、クライマークスのプロデューサー、ディレクターがインタビューを行いました。
※座談会はマスクを着用し、ソーシャルディスタンスや換気に十分配慮しました。撮影も可能な限り短時間で行いました。
- 日東金属工業株式会社
- 技術部 企画課 課長: 赤間龍さま
- 技術部 企画課 海外事業G: 根岸慧さま
- クライマークス
- プロデューサー: 塩田
- ディレクター: 中村
目次
課題・背景海外の企業に、一目で製品や会社を認知してもらうために
塩田
今回、なぜ映像を作成することになったのか、改めて背景をお聞かせください。
根岸
弊社は市場を広げていきたいと、数年前に海外事業を立ち上げました。
海外の企業に知ってもらうため、英語サイトをまず立ち上げて、そこで会社説明や弊社の想いを文字ベースで紹介していました。製品の画像もたくさんアップしていましたが、動画ならひと目で印象的に製品の概要も伝わると、制作を検討したんです。
クライマークスさんにお声がけしたのは、赤間が前職で働いていた会社でお取り引きがあったからですね。
赤間
で、塩田さんにお越しいただきました。初めてご来社いただいたときから、塩田さんはブランディングやマーケティング的視点でお話されてましたよね。動画をどうするかではなく、「まず誰に対して、どのように、どんなことを言いたいのか」「そもそも何を打ち出したいか」など、大局的な視点でお話いただいたことが印象的でした。
根岸
Webサイトの改善点もいろいろ挙げていただきましたよね。当時、Webサイトを今後どうしていけばいいか悩んでいたところだったので、すごく安心感を覚えました。
塩田
確かに、今のサイトの構成やあり方とか、そういう話をずっとしてた記憶があります。
赤間
正直、クライマークスさんのほかにも、前の会社でつながりがあったり、今まで動画制作で協力していただいた業者さんなどにもお声がけしていました。
ただ、他の会社は、「こういう動画どうですか?」とか金額帯の話ばかり。動画以上のブランディング、マーケティングの話をしていただいたのは塩田さんだけです。「日東金属工業とは」についてかなり深く聞き込んでくる姿勢も、クライマークスさんはずば抜けていました。
塩田
弊社を選んでいただいたポイントも、そこなんでしょうか?
根岸
あとは、何と言っても動画の作品性の高さですね。
赤間
そうですね。ご提案で「シネマティックに撮る」と仰っていたと思うのですが、人が引き込まれて見てしまう映像というのを、感覚的じゃなく「なぜ引き付けられるか」という理由も含めて、映像監督である上原さんの実例から説明していただきました。
企業動画ってあるにはありますが、すごくクオリティが高いものってやっぱり少ないし、表現もありきたりだったりします。そんな中で、上原監督の作品は抜群でした。
根岸
弊社のようにBtoBの企業は、無難な表現にいきたがるんですね。でも、クライマークスさんだったら少々冒険してもいいものが作れそうだなと。あんまり弊社は普段挑戦はしないんですが(笑)、今回はやってみたいと思えたんです。お金をかけて動画をつくったけれど、全然見てくれないではしょうがない。しっかり見た人を引き付けられるものを作りたいと思っていましたから。
日東金属 根岸さま、赤間さま
制作1受注の翌日には撮影現場へ。監督自ら職人さんたちをヒアリング
塩田
弊社に決めていただけることになって、翌日には動画の前半の舞台となるつくば工場を、中村、上原監督と一緒に見に行きました。
根岸
そうでしたね。
中村
提案時に、オフィスに隣接する八潮工場は見せていただいきましたが、そのときに「つくば工場は若い人が多く違う雰囲気」って聞いていたから、どんな人がどんな熱意でどんな働き方をしているのかを事前に知っておきたかったんです。
人を撮りたかったんですね。工場自体は僕らも経験上イメージがわきますが、どんな人たちがどんな目線で、仕事をしているのかはわからない。でも、そういうのを伝えたくて。
赤間
上原監督も、工場でかなりヒアリングしてましたよね。「この作業はどういう役割ですか?」「作るときに難しいことは何ですか?」「何を意識していますか?」とか。あの姿もすごく印象に残っていますね。
中村
その人の魅力や個性を引き出すのに、上原監督独特のポイントみたいなのがあるんですよ。
赤間
なるほど。あと、つくば工場の撮影などと同時に、塩田さんから「『自分たちはこういう会社です』っていうワードを社内で拾っておいてください」って宿題を出されましたよね。
塩田
後半の企業説明の部分で使うものですね。
根岸
そうです。最初は、我々が会社紹介のときに使っている言葉や、Webサイトに載せたりしているセリフを並べてみたんですけど、塩田さんから「それだとスペック重視で、お客さんに響きません」と(笑)。
塩田
偉そうですみません……。
根岸
(笑)ただ、納得しましたね。やっぱりメーカーは、自分たちの技術とか製品へのこだわりみたいなところに目が行きがちで、「お客さんはその製品のどこをいいと思うか」に思いが至らない。作ってる側の目線で製品を語ってしまって、それを塩田さんに出したら、赤字修正がいっぱい入って戻ってきた(笑)。
そこからは、私たちで営業をほとんど全員捕まえて、各自1時間くらいインタビューしました。「この業界のお客さんにはどういう人がいるか」「この加工方法はお客さんにとって何がいいのか」「この加工方法はお客さまにどんなバリューをもたらすのか」などなど。課長、部長とも話をしました。
赤間
営業だけじゃない。総務含め経理、社長、技術、製造、品質保証、マーケティングとか、「こういった動画を制作しますので協力を」と、ほぼ全社を巻き込んでヒアリングをしました。
根岸
こっちから言葉を出して、それで作ってもらうこともできたと思うんです。けれど、僕らでちゃんと導き出せるようにリードしていただいた。なので、作った動画も、僕らの言葉でちゃんと作ったっていう意識を持てました。
制作2妥協しない姿勢が印象的。工場の職人にも通ずるものがあった
中村
工場の撮影は、どんな印象でしたか?
根岸
まず、撮影を行う上で社内の人たちに協力してもらうために、説得材料として上原監督の映像作品を全員に見せながら説明したんです。実際に撮影する工場はもちろん、それこそ総務とか関係ない部署にも。
今まで採用活動まわりで工場の写真を撮ることはあったんですけど、やっぱりみんなちょっと気恥ずかしいし、映りたくないっていう人も出てきちゃう。けれど、今回動画を見せたら「こういうふうに撮ってくれるんだったら恥ずかしくはない」と、誰ひとりNGは出なかったんです。
中村
それは、すごい。
赤間
「NGでもいいですよ」って言ってたのに、ひとりもいなかった。みんな、むしろ楽しんでくれてましたね。
撮影当日は、僕はクライマークスさんの妥協しない姿勢がすごく印象的で。一つのシーンを何回も何回も撮り直したり。前の会社でも撮影に参加したことはありますが、あれだけタフな撮影はかった(笑)。ただ、そんなにやってもらえることに、すごく愛情を感じました。
本当に職人さんたちと同じ。撮影される側の工場の職人にも、通ずるものがあったんだろうなって思います。
中村
完成した映像を見たときの感想はどうでしたか?
根岸
めちゃくちゃきれいでしたよね。僕は好きなシーンは二つあって、一つが筑波山の朝の水面に映る朝日が、浮世絵みたいな色合いで。
中村
撮ってよかった……。あの部分は、なくても成り立つんですけど、「あったほうがいいよな」「なら行こう」と。その時期の筑波山の日の出が朝5時半でしたので、間に合うように向かいましたが、時間になっても陽が出ない。まわりにいた地元のおじさんたちが「今日はダメ」って言っていたんですが、そうしたら陽が出た。「出た出た、早く撮ろう!」って(笑)。
根岸
もうひとつが前半の部分のパートで、最後に畳みかけて社員の顔が映るところ。本当にみんないい目をしているんです。もともと企画から「人が真剣に物作りしている目線がすごくいい」とお伝えしていて、それがしっかり形になっていたのがすごく嬉しかったですね。
赤間
製品であるステンレスの表現の美しさが、僕は一番印象的で。素材を本当にきれいに大事に作ってることが、スタートのタイミングで映像で表現されている。ああいう表現ってなかなかできないと思いますよ。まるで異空間にいるような感覚。びっくりしましたし、本当にお願いしてよかったと思いました。
(左)日東金属 根岸さま (中)日東金属 赤間さま (右)クライマークス 塩田
反応・成果自分たちの会社を紹介するときの「金型」ができた
塩田
社内やお客さんの反応はどうでしたか?
赤間
社内からは「作ってくれてありがとう」「めちゃくちゃ良かった、ありがとう」って、感謝の言葉をいっぱいもらいました。
根岸
途中に職人さんが1人出てくるんですけど、すごくかっこよく映ってる。飲み会とかでそのことを本人はからかわれてましたけど、みんな内心かっこいいと思ってるんです(笑)。YouTubeのサムネイルにも映っていて、職人さん本人から「あれは、やめてくれよ~」って言われたんですが嬉しそうで(笑)。で、僕も画像を差し替えないという(笑)。
赤間
今は、メールにコーポレートムービーを貼って送ってる人も多いですね。
塩田
嬉しいですね、ちゃんと活用していただいている。
赤間
商談でも「動画を見ました」って結構言われますよ。大半の方に見ていただいているようです。弊社の製品に興味を持った人が見て、あれを見ると会社が分かって安心感につながるみたいです。
あと、いろんな会社紹介の「金型」にもなっています。国内外向けのチラシとか、最近では展示会のブース設定するときにも、必ず動画を見せて説明しています。
塩田
ありがとうございます。最後に、このプロジェクトを振り返って、どんな印象をお持ちですか?
根岸
弊社は国内で60年ぐらいの歴史があって認知度もあり、自分たちから積極的に自己紹介をしていく営業スタイルではなかったんですね。それが動画を作るにあたって、「日東金属工業とは何か」を改めて考えなきゃならなくなった。いい機会だったと思います。
赤間
その結果、市場に対して自分たちの強みや提供価値を本格的に考え、発信できるようになった。そうしている企業は、同業で少ないという印象を持っています。
根岸
それに、今回、塩田さんとのお話や『宿題』のために社内で話すことで、お客さま目線が身に付きました。意識改革というか、みんなにもそれが伝わったと思います。
また、最近は、業務効率化などに向けて部の垣根を超えて取り組むことも増えてきています。社内に撮影の依頼をする中で、組織を横串にする活動が始まって、それがこの文化、雰囲気を醸成するきっかけになりました。
赤間
ホームページも、動画の世界観に近づけたものにしようという計画もあります。今リブランディングを考えていて、海外と国内、共通したカラーで、日東金属工業を示していこうと思っています。
根岸
クライマークスさんとは動画を一緒に作っていく感じがありました。同じような感じで、良いものを一緒に作れる機会が今後もあったらいいなと思います。
塩田
ぜひ、ご一緒できればうれしいです!では、インタビューの方はこちら終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
中村
ありがとうございました。
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