ホームページ制作・Webサイト制作を発注する時の依頼の仕方
企業のホームページなどWebサイトの制作を外部に発注する時には、いくつか注意すべき点があります。制作会社への相談や見積もり依頼を効率的に進めるためにあらかじめ整理しておくべき定番の項目がある他、依頼の流れや制作会社を選ぶ基準についても把握しておく必要があるのです。本記事ではホームページ制作・Webサイト制作を依頼する前に整理しておくべきポイントや依頼の流れ、発注時のポイントやホームページ・Webサイト制作会社の選び方について解説します。
目次
1.ホームページ・Webサイト制作会社に依頼する前に整理したい2つのポイント
ホームページ・Webサイト制作会社に発注する前に、以下の2つのポイントを整理しておきましょう。
- ホームページ・Webサイト制作会社の対応範囲
- ホームページ・Webサイト制作の主な流れ
各ポイントについて以下で解説します。
1-1.ホームページ・Webサイト制作会社の対応範囲
ホームページ・Webサイト制作会社といっても、その種類や対応範囲はさまざまです。Web制作会社のなかにはホームページ・Webサイトの設計やデザイン、実装やシステム開発といった制作工程に特化している会社もありますが、実際には、ホームページ・Webサイト制作の要件定義から行う会社もあります。さらに、戦略・リサーチといった上流段階からホームページ・Webサイト像をすり合わせて、リリース後の保守や運営、改善までを請け負う会社までさまざまです。
ホームページ・Webサイト制作においては、企画段階でのリサーチやコンセプト・戦略の充実度や明確化が、最終的な成果物やパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。ビジネスゴールを達成することができる高品質なホームページ・Webサイトを目指す場合は、上流段階から制作会社に相談するのも有効な方法です。
1-2.ホームページ・Webサイト制作の主な流れ
ホームページ・Webサイト制作の主な流れは以下の通りです。
- 調査・分析・企画
市場や業界トレンド、オンライン・オフラインで実施可能な施策や競合企業の施策について調査・分析を実施し、ホームページ・Webサイト設立のコンセプトやターゲットの明確化などを行います。 - 設計・UI/UX
ユーザーシナリオ、カスタマージャーニーなどを想定してフレームワークを作成したうえで、ホームページ・Webサイトの設計やUI/UXの最適化をしていきます。 - コンテンツ・デザイン制作
企業紹介やサービス・製品紹介、ニュースやコラムなどのコンテンツや画像・動画・文字装飾やボタンなどユーザーの目に見えるデザインを制作していきます。 - 実装・システム開発
上の工程で設計した通りの表示や機能を実現するためのコーディングやシステム開発を行います。 - リリース・保守運用
制作したホームページ・Webサイトの表示や動作をテストした後、必要に応じて修正後、リリースします。リリース後もバグの修正、サーバーエラーなどのトラブル対応やコンテンツ更新などの運用が必要です。 - 評価・改善
ホームページ・Webサイトへのアクセス解析や成果に対する評価を行い、CVR(コンバージョン率)向上といった課題に対応するための改善を図ります。
ホームページ・Webサイト制作の流れについて、詳しくは下記記事もご参照ください。
Webサイト制作の6つの流れと整理すべき重要ポイント
2.ホームページ・Webサイト制作を依頼する流れ
ホームページ・Webサイト制作を依頼する時の主な流れは以下の7段階です。
- 戦略立案・企画立案
- 予算・メンバーの確保
- スケジュールの明確化
- RFP(提案依頼書)の作成
- 制作会社に見積もり依頼・選定
- 発注・契約締結
- R要件定義書の作成
各段階について、以下で解説します。
2-1.戦略立案・企画立案
まず、業界トレンドや市場、競合サイトに関する事前調査を実施します。続いて、調査結果に基づく戦略立案が必要です。具体的には、ホームページ・Webサイトをどのように制作すればKGI(重要目標達成指標)・KPI(重要業績評価指標)を達成できるかを念頭に企画を立案します。
また、ホームページ・Webサイト制作における優先順位を決めることも重要です。企業ホームページ・Webサイトの目的には企業ブランドの認知やイメージアップ、アクセス獲得、ユーザーとのコミュニケーション、サービス・製品の販売などがあります。それぞれの目的の優先順位を決定しておきましょう。
それから、ホームページ・Webサイト規模の明確化は制作費用や制作期間に影響する要素のため、制作会社に依頼する前に社内で決めておくと見積もり依頼時にスムーズです。サイト規模は一般的にページ数を基準とします。
加えて、スクラッチで開発するか、オープンソース開発か、有償パッケージ開発か、などをシステム担当と相談してあらかじめ想定しておくことも重要です。ホームページ・Webサイトのクオリティや制作費用・制作期間に影響する要素です。
2-2.予算・メンバーの確保
ホームページ・Webサイト制作では搭載したい機能やコンテンツの内容・質、ページ数などで費用が変動します。予算の上限や予算の幅だけでも決めておけば、費用の問題で実現できない企画を除外できるため、制作会社への見積もり依頼・相談の効率化が可能です。予算を算出する時は既定の予算、ホームページ・Webサイトの費用対効果や目標、ホームページ・Webサイトの規模などを基準にします。
また、ホームページ・Webサイト制作を担当する社内メンバーをアサインし、体制を構築しておきましょう。制作会社とのやりとりや決裁プロセスを整理しておくと、複数社へ見積もりを依頼した後の選定や制作開始後の進行管理もスムーズです。
2-3.スケジュールの明確化
ホームページ・Webサイトの制作にかかる期間は規模(ページ数)や実装する機能などによりケースバイケースです。制作会社に制作の進行をまかせっきりにするのでなく、発注する企業側も各制作工程のスケジュール感を把握したうえで、スケジュールを明確化する必要があります。
加えて、納期よりも成果物のクオリティや内容、量などを重視する場合は、予想以上に制作期間が長くなるケースもあります。そのため、制作スケジュールはあらかじめ、できるだけの余裕を持たせて設定しておくようにしましょう。また、段階的なリリースを許容できるのであれば、予算を年度毎に確保できるなど柔軟な計画が可能になります。
2-4.RFP(提案依頼書)の作成
RFP(Request for Proposal)とは、ホームページ・Webサイト制作を外注するにあたって制作会社に対する条件や要望、提案書に入れて欲しい内容などを記載した提案依頼書です。RFPはホームページ・Webサイト制作における要件定義の前提資料となります。
RFPは以下の内容を含めて作成します。
- プロジェクトの概要(予算、スケジュール、作成または追加・削除するページの量、サイトマップ)
- 対応デバイス、OS、ブラウザ
- SSL化の有無
- サーバー規格・ドメイン案
- コンテンツ作成方針
- アクセス解析結果の情報(Google Analyticsのアカウントなど)
- Google Search Consoleなどのアカウント
- (リニューアルの場合)現状のページ一覧
- (リニューアルの場合)現状の各種設計書/インフラ構成/ネットワーク転送量
- (リニューアルの場合)-現状のサーバー内ファイル一式・データベース
RFP作成のポイントについて、詳しくは下記記事もご参照ください。
Webサイトリニューアルを成功させるRFP作成
2-5.制作会社に見積もり依頼・選定
複数のホームページ・Webサイト制作会社へRFPを提出して見積もりを依頼します。複数の制作会社に見積もりを依頼するメリットは、相場の把握や制作会社の比較ができることです。
各制作会社から提出された提案書が揃ったら内容を比較して、発注先を選定します。なお、制作会社にはいくつかの種類や規模がある他、制作会社によって対応可能範囲やスキルにばらつきがあるため、選定基準を明らかにしてから絞り込む方法がおすすめです。
2-6.発注・契約締結
ホームページ・Webサイト制作会社を選定後、発注・契約締結します。発注内容を一括した業務委託契約になる場合もあれば、提案書・要件定義書作成ステップ・制作ステップ・運用ステップなどに分けて個別契約となる場合もあります。
2-7.要件定義書の作成
要件定義書とは、制作を依頼するホームページ・Webサイトに関する要望や必要な機能、予算やスケジュールなどプロジェクト内容を明確化して書面にしたものです。要件定義書は発注側の社内でプロジェクトを共有するため、また、発注側と受注側の間で認識を統一するために必要です。
RFP(提案依頼書)を叩き台としてホームページ・Webサイト制作会社と内容をすり合わせながら、要件定義を実施します。制作から動作テスト、リリース後の保守運用や改善など全工程のスケジュールを含め、具体的な要件を細かいところまで制作会社と決めていきましょう。
要件定義が完了したら、ホームページ・Webサイト設計など制作工程に入ります。
3.ホームページ・Webサイト制作会社に発注する時のポイント
ホームページ・Webサイト制作会社に発注する時の主なポイントは以下の3つです。
- 予算計画を設定しておく
- Web制作の目的を明確化する
- 公開後の運用・保守性も考慮する
各ポイントについて以下で解説します。
3-1.予算計画を設定しておく
要件定義を通じて、計画当初は想定していなかった機能や制作範囲など、多くのことが明確化されてきます。すべての要望を満たすために予算を確保するのか、段階的に機能追加するなど中長期計画を立案し、順次、理想のホームページ・Webサイトへ成長させていくか、などにより予算計画は大きく影響を受けます。
なお、ホームページ・Webサイトにかかるコストは制作費用だけでなく、リリース後の保守運用や更新、改善などにかかるコストも想定しておく必要があります。
3-2.Web制作の目的を明確化する
プロジェクトの最初に、何のためにホームページ・Webサイトを制作するのかについて熟慮し、整理しておくことが重要です。企業のホームページ・Webサイトの主な目的には、企業ブランディングやロイヤリティ獲得、アクセス数獲得によるマーケティング、サービス・製品の認知向上や販売促進、ユーザーとの接点、求人などがあります。
制作目的によってホームページ・Webサイト設計や制作における優先度も変わってきます。制作目的を見失うことがないよう、最初にしっかりと明確化しておきましょう。
3-3.公開後の保守性も考慮する
ホームページ・Webサイト制作を外注する際は、保守運用がしやすいように制作してもらうことを考慮しましょう。
ホームページ・Webサイトは公開したらそれで終わりではなく、公開後も適切な保守運用を続ける必要があります。コンテンツの更新はもちろん、快適なユーザーエクスペリエンスを維持するためには、トラブル発生時にすぐ対応できる仕様になっていることが重要なのです。
特に、CMSなどシステム開発が伴う場合は、操作マニュアルの作成依頼や勉強会の実施などを計画しないと、実際の運用時に混乱を招いてしまいますので、注意が必要です。
3-4.要件に合う制作会社を選定する
ホームページ・Webサイト制作における要件が決まったら、それに合う制作会社を選定します。制作会社の選び方については、次で詳しく解説します。
4.ホームページ・Webサイト制作会社に依頼する時の選び方
ホームページ・Webサイト制作会社に依頼する時の主な選び方は以下の3つです。
- 対応可能範囲で選ぶ
- 制作実績で選ぶ
- 提案力・企画力で選ぶ
それぞれについて以下で解説します。
4-1.対応可能範囲で選ぶ
ホームページ・Webサイト制作における対応可能範囲は制作会社によって異なるため、選定時の重要な基準です。制作会社によってはホームページ・Webサイトにおける課題発見・戦略立案から制作までへの対応はもちろん、公開後の保守運用や改善にもフルサポートで対応してくれる場合があります。
成果につながる高品質なホームページ・Webサイトをめざす場合は戦略やリリース後のアクセス解析、改善などが重要となるため、フルサポートで対応してくれる制作会社を選ぶのがおすすめです。
4-2.制作実績で選ぶ
ホームページ・Webサイト制作会社によって対応範囲やスキルが異なるため、自社が制作したいサイトを実現できる制作会社かどうかをしっかりと見極めたうえで選定する必要があります。競合サイト、または、自社が希望するホームページ・Webサイトの種類や規模と同様のサイト制作実績が豊富にあるかどうかを基準に制作会社を選定することも有効な方法です。特に、大規模サイト制作や多言語サイト制作、採用サイト制作など特定テーマでのWebサイトを制作したい場合は、そのようなサイトの制作において実績の多い制作会社を選びましょう。
4-3.提案力・企画力で選ぶ
ホームページ・Webサイトはただ制作するだけでは意味がありません。アクセス向上など成果に結びついてこそ費用対効果が高いといえます。
成果につながるホームページ・Webサイトを制作できるかどうかについては、制作会社の提案力・企画力の多寡が大きな影響を及ぼします。業界トレンドやWebマーケティングといった観点から成果につながるWebサイトを提案・企画する力があるか、つまり、コンサルティングにも長けた制作会社かどうかは重要な選定基準です。
5.まとめ
ホームページ・Webサイト制作を発注する際は、制作会社の対応範囲や実績をよくチェックすることが大切です。また、制作の流れやスケジュール感、相場なども把握しておき、複数社に見積もり依頼を出して提案書を比較しましょう。制作コストだけでなく制作・リリース後の保守運用にかかるコストも視野に入れて費用対効果を検討する必要があります。加えて、提案力・企画力も制作会社を選定する際の重要な基準です。契約後は適切な予算やスケジュール、サイト内容などを記載した要件定義書を制作会社とともに作成し、発注側・受注側の認識をすり合わせておくことが制作をスムーズに進めるうえで役立ちます。
Web制作
大規模コーポレートサイトからサービスサイトやサテライトサイトまで、アートディレクションと情報アーキテクチャ設計を融合した、クリエイティブで訴求力の高いサイトを構築します。また、フロントエンドのみならずバックエンドのシステム構築、デジタルマーケティング支援までを総合的に提供しています。