Webマーケティング戦略の立て方・主な施策とフレームワーク
Webマーケティングには数多くの施策が存在しますが、そのなかから自社に合ったものを選択し、優先順位を決めて実施することが重要です。本記事ではWebマーケティング戦略の立て方や主な施策と施策設計に活用できるフレームワークについて解説します。記事の最後にWebマーケティング戦略を成功させるコツについても解説しています。
Webマーケティング施策について
クライマークスのソリューションを見る
目次
1.Webマーケティング戦略を立てる重要性
Webマーケティング戦略とは、Webを活用して、どのターゲットに、どのような価値(製品・サービス)を提供するかを計画することです。戦略を立てず直感的にWebマーケティングを展開すれば、労力・金銭・時間といった経営資源の効果的な配分が難しくなってしまいます。また、Webマーケティングの施策は多くあるため、自社に適した施策の選択や各施策の適切な配分をするためには、戦略を立てて臨むことが重要です。
例えば、「今の若者は動画をよく観るらしいから」と流行に乗って動画コンテンツを広告に多用しても、動画が自社の製品・サービスに合わなければWebマーケティングの効果は期待できないでしょう。Webマーケティングの戦略を立てることによって自社の立ち位置が明確になり、施策の優先順位も決めやすくなります。
2.Webマーケティング戦略で使われる主な施策
Webマーケティング戦略では次の6つの施策が主に使われます。
- SEO(検索エンジン最適化)
- Web広告の配信
- SNSマーケティング
- メールマーケティング
- ウェビナーの開催
- 自社メディア強化
それぞれの施策について以下で解説します。
2-1.SEO(検索エンジン最適化)
SEOとは「Search Engine Optimization」(検索エンジン最適化)の略称です。ユーザーがGoogleやYahoo!など検索エンジンで自社に関連するキーワードを検索した際、自社のWebサイトが上位に表示されることを目的として、Webサイトの構造やコンテンツを最適化することをSEOといいます。
SEOは、検索エンジンを使って調べものをする人を対象に、オウンドメディアやブログなどで有益なコンテンツを提供する「コンテンツマーケティング」などで活用されるWebマーケティング施策です。SEOのメリットとしては、Webサイトのアクセスや収益に結び付きやすい点や自社のファン・リピーターを獲得しやすい点が挙げられます。
2-2.Web広告の配信
Web広告とは検索エンジン結果表示画面やポータルサイト、アプリやSNSの画面など、インターネット上のさまざまなメディアに配信する広告です。Web広告のメリットとして、広告を表示するターゲットの絞り込みや効果測定が可能な点、比較的少ない費用から始められる点が挙げられます。
Web広告の主な種類は次の通りです。
- ディスプレイ広告(アドネットワーク広告)
- ネイティブ広告(Webサイトのコンテンツに同化するように表示される広告)
- メール広告(メルマガなどメールで配信される広告)
- リスティング広告(検索連動型広告)
- リターゲティング広告(追跡型広告)
- リワード広告(アフィリエイト広告の一種。リンク先で成果報酬が発生する広告)
- バナー広告
- 動画広告(YouTubeやSNSの動画配信に表示する広告)
- アフィリエイト広告(成果報酬型広告)
- SNS広告(SNSのタイムラインやストーリーズなどで配信される広告)
2-3.SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、TwitterやInstagram、LINEといったSNSで公式アカウントを運用して実施するWebマーケティングです。また、YouTubeやTikTokなどの動画共有サービスも広い意味ではSNSに含まれるため、SNSマーケティングの対象になります。SNS上で広告配信やキャンペーン、インフルエンサーを使ったマーケティング、ソーシャルリスニング(ソーシャルメディア上のユーザーのコメントを収集・分析・活用すること)を実施するWebマーケティング施策です。
最近はSNSで情報収集するユーザーも増えており、SNSマーケティングによって認知度向上やスピーディな情報伝達、ブランディング効果やロイヤリティ育成などの効果が見込めます。
2-4.メールマーケティング
メールマーケティングとはEメールを活用したマーケティングです。資料請求や会員登録などによって獲得したユーザーのメールアドレスを活用して実施します。紙のダイレクトメールよりもコストや手間がかからずにできる点やユーザー属性に応じて内容・配信頻度を設定できる点、効果検証のしやすさなどがメールマーケティングのメリットです。
メールマーケティングの種類はメルマガの他、数段階に分けてメールを送信するステップメールや、条件にあてはまるユーザーに適した内容のメールを配信してWebサイトや購入・申し込みページへの再来訪を促すリターゲティングメールなど、いくつかの種類があります。
2-5.ウェビナーの開催
ウェビナーとはオンラインでのセミナーやイベントを指します。ウェビナーを開催して集客する施策が「ウェビナーマーケティング」です。ウェビナーマーケティングはオフラインのセミナーと比べて参加のハードルが低いため、製品・サービスの購入を検討している段階の顧客にもアプローチできるというメリットがあります。また、ウェビナーの様子を録画しておけば当日に参加できなかったユーザーにも共有できるなど、ウェビナー開催後も動画コンテンツとして使える資産となる点もメリットです。
2-6.自社メディア強化
自社のサービスサイトやコーポレートサイトを強化することもWebマーケティングに欠かせない施策です。
自社WebサイトはWebマーケティングにおいてユーザーと自社とをつなぐ重要な接点となります。自社Webサイトを充実させることによってSNSやWeb広告よりも正確に自社の伝えたいメッセージを発信できるだけでなく、自社ブランディングや潜在顧客の獲得・ナーチャリングも可能です。さらに、自社Webサイトには製品・サービスを販売する装置という重要な役割もあります。
ブランディングにおけるWebサイトの役割について、詳しくは以下の記事を参照してください。
ブランディングにおけるWebサイトの役割と制作会社の選び方
3.Webマーケティングの戦略設計に使えるフレームワーク
Webマーケティングにおけるフレームワークとは、課題に対する思考の順番と目的を明確化したうえで、その目的に応じて定められた枠組み(フレーム)に当てはめて思考し、要点を見つける思考法です。ここでは以下5つのフレームワークについて、それぞれ解説します。
- 3C分析
- SWOT分析
- STP分析
- 4P分析
- PDRサイクル
3-1.3C分析
3C分析とは、3つの「C」、すなわち「Customer」(市場・顧客)、「Company」(自社)、「Competitor」(競合)について分析するフレームワークです。マッキンゼーの経営コンサルタントを務めた大前研一氏が1982年に自著で3C分析を提唱して以来、世界的に有名になったとされています。
3C分析では、市場・顧客、自社、競合をそれぞれ分析することによって、KSF(Key Success Factor=成功要因)を発見することを目的としています。3C分析の応用として、4C分析や5C分析といったバリエーションもあります。
3C分析は、次で説明するSWOT分析の準備としても使えるフレームワークです。
3-2.SWOT分析
SWOT分析(スウォット分析)とは、「強み」(Strength)、「弱み」(Weakness)、「機会」(Opportunity)、「脅威」(Threat)のイニシャルからその名が付いたフレームワークです。SWOT分析はWebマーケティングの戦略を検討する過程において最初に実施する「環境分析」で用いられます。SWOT分析の目的は、目標達成に有利あるいは不利となる社内・社外の要因4つを組み合わせて分析を行うことによるKSFの発見です。
SWOT分析における強み・弱みとは目標達成に有利あるいは不利となる企業内部の特徴を意味します。また、機会・脅威とは目標達成に有利あるいは不利となる外部の特徴(市場拡大や競争で優位となる可能性あるいは市場縮小や競争激化の可能性など)です。
SWOT分析では上記の3C分析で得られた結果を参考にします。
3-3.STP分析
STP分析とは「セグメンテーション」( Segmentation)、「ターゲティング」(Targeting)、「ポジショニング」(Positioning)のイニシャルから名付けられた分析方法です。「近代マーケティングの父」と呼ばれるアメリカの経済学者フィリップ・コトラー氏により提唱されました。
STP分析におけるセグメンテーションは市場を顧客やニーズなどの共通項目で細分化すること、ターゲティングは自社がターゲットとする市場の決定、ポジショニングはターゲティングで選択した市場における競合と比較して自社の立ち位置を把握・決定することです。
STP分析はSWOT分析などで導き出したKSFを具体的なマーケティング戦略に落とし込む際に活用できます。
3-4.4P分析
4P分析とは、「製品」(Product)、「価格」(Price)、「プロモーション(Promotion)、「立地」(Place)のイニシャルから成る分析方法です。ターゲットとする市場からよい反応を引き出すための施策の組み合わせを考えるためのフレームワークとしてよく使われます。ちなみに、施策の組み合わせをマーケティングミックスと呼びます。
4P分析の「Place」については、Webマーケティング事業で物理的な立地が重要でない場合は「チャネル」(SNS/外部メディア/自社メディア/検索エンジンなど)と言い換えても構いません。
4P分析は、STP分析の結果に基づいて具体的な戦略を整理する際に使えます。4P分析の応用編として7Pや4Cも知られていますが、まずは基本となる「4P」を覚えておくことをおすすめします。
3-5.PDRサイクル
PDRサイクルとは、「準備」(Prep)、「実行」(Do)、「評価」(Review)のイニシャルから名付けられたフレームワークです。PDRサイクルは、これまで多くの企業で活用されてきたPDCA(計画・実行・評価・改善)に代わる手法として注目されています。
PDRがPDCAより優れている点は、1回のスパンが短いためスピーディに繰り返すことができ、その分、改善点にも早期に着手できることです。また、PDCAにおける「改善」では具体的な目標を設定することになっていますが、それに対してPDRは改善そのものに重点を置きます。そのため、改善を繰り返すうちに結果として高い目標を達成できることもあるのです。
また、PDRでは「実行」よりも「準備」が評価されます。つまり、「評価」がよくない場合に見直すべきなのは「準備」なのです。
4.Webマーケティング戦略の立て方・基本手順
Webマーケティング戦略を立てる基本的な手順は次の通りです。
- 現状分析
- 戦略の設計
- 効果検証・調整
各手順について以下で解説します。
Webマーケティングの始め方については以下の記事をご参照ください。
Webマーケティングの始め方・手順と施策種類や実行のコツ
4-1.現状分析
まず、自社の現状を分析する必要があります。3C分析やSWOT分析などのフレームワークを使って、自社内部の現状と、市場や顧客、競合など外部の環境を分析してください。
4-2.戦略の設計
次に、STP分析や4P分析を使って具体的な施策を決め、戦略を設計します。また、顧客が購買に至るまでの行動の流れを設計し、カスタマージャーニーマップなどに落とし込みましょう。それから具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定し、施策をスタートさせます。
4-3.効果検証・調整
自社Webサイトへのアクセス数やページビュー数、直帰率やコンバージョン率など、アクセス解析のデータをもとにWebマーケティング戦略の効果を検証します。ここで問題点が見つかれば調整を行います。PDRサイクルを活用し、スピーディに改善していきましょう。
5.Webマーケティング戦略を成功に導くコツ
Webマーケティング戦略を成功に導くコツは次の2つです。
- 最新情報を常にキャッチする
- 自社にとっての最適解を探る
それぞれについて以下で解説します。
5-1.最新情報を常にキャッチする
Webマーケティングのセオリーは目まぐるしく変化しています。例えば、検索エンジンのコアアップデートによるSEOセオリーの更新や新興SNSの登場によるシェアの変化などです。古いセオリーに従って戦略を立てないよう注意し、常に新しい情報を取り入れるようにしましょう。最新情報のキャッチアップを外注先やコンサルタントに任せるだけでなく、社内の担当者も最新情報に精通することが重要です。
5-2.自社にとっての最適解を探る
最新の情報が大切とはいえ、自社に合うかどうかを考えずに流行にただ乗るだけの戦略や、同業他社のやり方を真似るだけの戦略をとることには危険が伴います。本記事で紹介したフレームワークを活用しながら自社の置かれた環境や強みを分析し、自社にとっての最適解を探りながらWebマーケティング戦略を立てることが重要です。
6.まとめ
Webマーケティング戦略は施策の優先順位を決めるなど、経営資源を効果的に配分するために重要です。Webマーケティング戦略で使われる主な施策にはSEO(検索エンジン最適化)、Web広告の配信、SNSマーケティング、メールマーケティング、ウェビナーの開催、自社メディア強化などがあります。また、Webマーケティング戦略設計には3C分析、SWOT分析、STP分析、4P分析、PDRサイクルといったフレームワークを活用可能です。最新のマーケティングセオリーに従って自社に最も適した戦略を選択し、現状分析~戦略設計~効果検証・調整の手順で実施しましょう。
Webマーケティング
Webサイト構築における内部施策やコンテンツマーケティングを軸に、SEO対策やオウンドメディア、各種MA/CXツールの導入など、あらゆるチャネルや接点を活用し、Webマーケティング戦略をトータルで支援します。