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Webマーケティングとは?施策やメリット、成功のポイント

インターネットの普及により、企業がWebサイトをビジネスに活用することは当たり前になりました。そのなかで注目されているのがWebマーケティングです。そこで、本記事ではWebマーケティングの基本的な概念から導入メリット、代表的な施策や始め方、主なWebマーケティングツール、成功事例と成功のポイントについて解説していきます。

1.Webマーケティングとは?

まず、Webマーケティングの定義やデジタルマーケティングとの違いについて解説します。

1-1.Webマーケティングの意味

Webマーケティングとは、WebサイトやWeb上のサービスを活用して、マーケティング活動を行うことです。英語「Web Marketing」が語源で、さまざまなWebの機能や仕組みを利用して、お客様を集め、物が売れる仕組みを作りだすことを指しています。

1-2. デジタルマーケティングとの違い

デジタルマーケティングとは、ITテクノロジーやインターネットなどの「デジタル」を活用した総称です。Webサイト・Webサービスにフォーカスした範囲の場合はWebマーケティング、広くデジタル情報を扱う場合はデジタルマーケティングが用いられる傾向があるといえます。

「デジタル」という言葉の方が指すものが広いため、Webマーケティングの施策もデジタルマーケティングに含まれるということもでき、IoT機器導入によるデータ収集やデジタルサイネージ広告など、Web以外のツールや媒体を用いた施策も行う文脈で語られるのがデジタルマーケティングの特徴です。そしてデジタルマーケティングは「実店舗とECサイトの連携」のようにオフラインとオンラインを連携させるOMO(Online Merges with Offline)戦略なども含めて語られることもあります。

2.Webマーケティングの特徴とメリット

なぜ、Webマーケティングに注目が集まっているのでしょうか。その理由は、インターネットの普及によるビジネス環境の変化です。従来は、企業が商品やサービスをお客様に知ってもらうためには、テレビコマーシャルや新聞や雑誌の広告といった媒体が主流でした。

しかし、ネットの普及により、ネットショッピングやECサイトが浸透し、Webマーケティングが急激に拡大していったのです。

従来の広告手法よりも、圧倒的にコストを抑えられるのがWebマーケティングの大きなメリットです。また、最初はスモールスタートではじめ、効果が生まれた施策にコストを投入していく、という進め方ができることも特徴です。

さらに、従来の広告やマーケティングの手法との大きな違いが、Webマーケティングは効果測定が行いやすいという点です。例えば、ネットショッピングの特定のページに、何人のユーザーが訪れて、何回クリックされたか、といった結果を「数値」で把握できるのです。

Webマーケティングでは数値で効果測定が行えるため、注力するべきWebマーケティングの施策や改善点などが把握しやすいのです。従来のテレビコマーシャルや広告媒体では、その効果を具体的な数値で測定することが困難なことを考えると、効果測定が行えるWebマーケティングは非常に優れたマーケティング手法といえます。

3.Webマーケティング施策の種類・分野

それでは、Webマーケティングには、具体的にどのような施策があるのでしょうか。ここからは代表的な施策10を取り上げ、それぞれの定義や重要性・メリット、手法の例などについて解説していきます。

3-1.SEO(検索エンジン最適化)

SEOとは、「Search Engine Optimization」の略称で、検索エンジン最適化などと日本語訳されます。検索エンジンで検索された結果において、自社のWebサイトが上位に表示されるよう対策を行うことです。

3-2.アフィリエイト広告

アフィリエイト広告とは、Webサイトやさまざまなデジタル媒体にリンクを掲載し、そのリンク経由で訪問したユーザーのコンバージョンにより、報酬が発生する広告の手法です。

3-3.リスティング広告

リスティング広告とは、検索連動型広告と呼ばれ、ユーザーが検索したキーワードや閲覧履歴に連動して広告が表示される仕組みです。ユーザーの興味や関心が高い広告が表示されるため、高い効果が期待できる手法です。

3-4.アドネットワーク

アドネットワークとは、広告配信ネットワークによって、複数の媒体で同時に広告を配信する広告手法です。アドネットワークの利用により、1社とのサービス契約で複数の媒体に広告を配信することが容易になりました。

3-5.リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、インターネット・ブラウザのcookie(クッキー)の機能を利用して、特定のWebページで表示された広告を別のWebページでも表示させることです。

3-6.SNS広告

TwitterやFacebookなどのSNSに広告を配信する手法がSNS広告です。SNS上でターゲットのユーザーに拡散されることで、さらなる効果が期待できます。

3-7. SMM(ソーシャルメディア・マーケティング)

SMMとは、TwitterやFacebook、InstagramといったSNSを活用したマーケティング手法です。主な手法は、企業アカウントを作成してユーザーを引きつける情報発信やキャンペーンなどを行うもので、また上記のSNS広告もSMMの1つといえます。

SMMは企業からの一方的な情報発信だけでなく、ユーザーからも情報発信できるのが特徴です。そのユーザーに適切なリアクションを行えば、企業はより親近感を持ってもらいやすくなるでしょう。さらにリツイートやシェアによって情報が拡散されやすいのもSMMのメリットです。

3-8.メールマーケティング

メールマーケティングとは、メールマガジンやメール配信(ステップメール)などを活用してマーケティングを行うことを指します。ユーザーに合わせて関心の高い情報を提供していくことで、購買意欲を高めることができます。

3-9.Web接客

Web接客とは、Webサイトのユーザーに対してオンライン上で行う接客です。

例えば、ポップアップやチャットボットなどのWeb接客ツールを導入する方法があります。ポップアップは個々のユーザーに合った製品・サービスやその他コンテンツを提案するツールで、チャットボットはユーザーが知りたいことを入力すれば即座に回答を返す自動会話プログラムです。

Webマーケティングでは、Webサイトへの集客に加え、Webサイト自体の使いやすさや機能性を高めてユーザーをもてなすことも重要になります。サイトの滞在率や利用頻度を高め、より多くの成果を期待できるからです。その点、Web接客を強化すればユーザビリティが向上しパフォーマンスの改善にもつながりやすくなります。

3-10. 動画・ウェビナーマーケティング

動画・ウェビナーマーケティングとは、インターネット上で動画やウェビナー(Web上でのセミナー、イベント)を活用して行うマーケティング施策です。動画は自社サイトへの埋め込みや動画共有サイトで配信できますし、ウェビナーは日時が決まっている場合が多いものの録画して後日配信することもできます。

動画・ウェビナーにはオフラインのイベントのような時間や場所の制約がないため、より広範なユーザーに参加を促せます。特に、「情報発信コンテンツ」や「セミナー」という切り口によって、いままで接触できていなかった層に働きかけたい場合に効果を期待できるWebマーケティング施策です。

戦略

4.Webマーケティングの始め方・戦略立案の流れ

Webマーケティングの基本的な戦略立案の流れは以下の通りです。

  • 1.現状分析・市場調査
  • 2.目標・戦略の設計
  • 3.効果検証・調整

次に、各手順について解説します。

4-1.現状分析・市場調査

まず、現状分析・市場調査によって、自社内部の現状と外部の環境を把握する必要があります。

現状分析の手法はWebサイトのアクセスログ解析や競合サイト調査、ユーザーによるサイト評価や専門家によるヒューリスティック分析などです。

市場調査はアンケートやネットリサーチ、インタビューといった手法を用います。専門のリサーチ会社などに依頼するのが一般的です。

4-2.目標・戦略の設計

カスタマージャーニーマップなどを作成して、顧客が製品・サービスの認知から購買に至るまでの戦略を設計します。

そして集客を行うWebサイトについて、PV(ページビュー)数やUU(ユニークユーザー)数などの具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定し、目標を達成するために必要な施策を選んでいきます。

以下の記事で、Webマーケティング戦略の立て方について、くわしく解説しています。

マーケティング戦略の立て方・主な施策とフレームワーク

4-3.効果測定とPDCAサイクル

Webマーケティングの特徴として説明した効果測定と、その結果に基づいてPDCAサイクルを実施していくこも大切なポイントです。Webサイトのアクセス解析による効果測定で、ターゲット顧客の関心のあるキーワードや情報などを把握することができます。

ターゲット顧客の関心のあるコンテンツを理解していないと、独りよがりなWebサイトとなってしまうため、マーケティングとしての効果は期待できません。効果測定によって、常にユーザーの興味や関心を把握しておかなければいけないのです。

また、効果測定の結果をWebサイトに反映させたとしても、すぐに変化が現れるわけではありません。そのため、PDCAサイクルを実施して、長期的なスタンスでWebマーケティングに取り組んでいく必要があるのです。

5.Webマーケティングで使用されるツール

Webマーケティングでよく使用されるのは以下のツールです。

5-1.アクセス解析・行動分析ツール

Webサイトを訪問したユーザーのデータ(数・属性・流入経路・行動など)の収集・分析、ヒートマップ作成やサイト表示速度解析などを行うツールです。

<例>

  • Googleアナリティクス
  • Googleサーチコンソール
  • Page Speed Insights
  • User Insight

5-2.SEO・キーワード抽出ツール

検索頻度の高いキーワードや関連キーワードの抽出機能やトレンドワード分析機能を持つツールです。

<例>

  • Googleキーワードプランナー
  • ラッコツールズ
  • Googleトレンド

5-3.CRM/MAツール

顧客情報・カスタマーサービス管理や、メール・SMS配信などの自動化・効率化を行うツールです。

<例>

  • Adobe Marketo Engage
  • Salesforce Pardot
  • SATORI

5-4.Web接客ツールWebサイト上で個別のユーザーに合った情報提供や対応を自動的に行うツールです。

<例>

  • Chat Plus
  • KARTE

5-5. ABテストツール

Webサイトの優劣をA/Bテストによって判定できるツールです。

<例>

  • Googleオプティマイズ
  • Optimizely X

以下の記事でWebマーケティングツールについて、詳しく解説しています。

Webマーケティングのツール17選と主な機能・選び方

成功

6.Webマーケティングの成功事例

ここでは、Webマーケティングの成功事例として、ミッド・インターナショナル、コニカミノルタジャパン、ヤマダデンキの3社を紹介します。

6-1.ミッド・インターナショナル

大きいサイズ専門のアパレル企業のミッド・インターナショナルは、自社のECサイトに徹底したSEOを実施し、集客の大幅アップに成功しました。

同社はECサイト運用経験25年以上ですが、近年はコロナ禍による売り上げ減少に悩んでいました。そこで、ECサイトを改善して売り上げアップを図るという戦略を立てたのです。

具体的には、製品ページのタイトルタグ設定や、商品画像・商品説明文の見直し、ユーザーレビューの充実化、構造化マークアップの改善などを実施。施策を実施してから1年間でECサイトの閲覧者数が1.5倍、コンバージョン数1.4 倍の成果を得られたほか、広告費の20%削減にもつながりました。

これまではうまくいっていたWebマーケティング手法も、時流に合わせて見直し、改善を図ることが重要です。この事例は既存のWebサイトのSEO強化を成功につなげた好事例といえます。

6-2.コニカミノルタジャパン

コニカミノルタジャパンでは、メール配信ツールを活用しながら独自のメールマーケティングを成功させています。

以前からメール配信はしていたものの、「特集ページへの流入や問い合わせにつながっていないこと」「新規会員登録がECサイトでの購入につながっていないこと」が悩みでした。「クラウド系製品のトライアル利用者を本契約に誘導したい」という課題もありました。そこで、メール内容や送信方法を改善して本契約につなげるという戦略を立てました。

例えば、カスタマーサポート担当者の提案をメール配信ツールに反映させてメールのファーストビューにユーザー行動を喚起する要素を配置したところ、流入先ページへのアクセス数が向上するとともに、メールの開封率アップや問い合わせの増加につながりました。また、メール配信ツールでメール作成の効率化やCV(コンバージョン)計測が可能になりました。

さらに、ステップメールを新規会員向けとトライアル利用者向けに設定したことにより、それぞれのユーザーに対し製品・サービスの認知度アップや購入機会の提供、サービス活用に関するフォローや本契約への誘導を実現しています。

このように、従来のマーケティング手法を見直したり、Webマーケティングを効率化するツールを上手に取り入れたりすることも大切です。

6-3.ヤマダデンキ

家電量販店のヤマダデンキは、LINEをマーケティングに活用して成果を出しています。

同社ではチラシによる店舗への集客を重視してきましたが、近年は紙のチラシを見るユーザーの減少が問題となっていました。紙チラシの代替としてオンライン広告を試したものの、来店数・売り上げへの効果測定が困難でした。また、自社サイトにデジタルチラシを掲載するも、効果測定に必要な量の閲覧を得られませんでした。

そこで、デジタルチラシの強化および閲覧数・閲覧者数アップと効果測定、デジタルチラシのアドバンテージを活用するという戦略を立てたのです。

同社が選んだ施策は、日本国内における月間利用者数およそ9,200万人(2022年6月末)と莫大なユーザー数を誇るLINEの運用でした。公式アカウントと自社アプリの連携、「LINEチラシ」の配信、販促支援プログラム「リテールパートナープログラム」への参画などを実施しています。

LINEチラシは2020年に約10店舗に導入したのが始まりです。スマートフォンで見やすいように縦型にする、限定クーポンや店頭POPの掲載、商品がよく見えるように1つの画面に1つの商品を掲載するといった工夫と効果検証、改善を実施しました。その結果、閲覧者数は約180%アップ、来店者数は約160%アップと高い効果を確認できたため、LINEチラシ導入を400店舗に増やすことになりました。

このように、既存の媒体でマーケティングの成果を出せない時は新しいメディアやサービスに目を向けるのも選択肢の1つといえそうです。

7.Webマーケティングを成功させるポイント

Web マーケティングを成功させるための主なポイントは次の3つです。

  • 優先順位を意識する
  • 良質なコンテンツを提供する
  • 常に最新情報をキャッチアップする

各ポイントについて以下で解説します。

7-1. 優先順位を意識する

ここまでご説明したように、Webマーケティング施策には多くの種類があります。全ての施策を同時並行で進められれば理想ですが、現実には難しいでしょう。

企業が置かれている状況や業界の特徴などを検討したうえで、より大きな効果が期待できる、優先順位の高い施策から着手してください。

7-2. 良質なコンテンツを提供する

コンテンツの中身や質も、Webマーケティングの成果に大きな影響を与えます。例えば、広告によって自社のWebサイトにユーザーを誘導できても、コンテンツの質が低ければユーザーは離脱してしまう可能性が高いです。もちろん、コンバージョン率も向上しません。

有益な情報を提供し、ユーザーを満足させることで、はじめてコンバージョンが発生するのです。つまり、コンテンツの力だけでユーザーの信頼を獲得し、集客や成果につなげなければいけません。だからこそ、Webマーケティングにおいては、コンテンツが重要なのです。

さらに、ユーザーを満足させるにはコンテンツの量や網羅性も大切です。例えば、ダイエットに関する情報を提供するWebサイトであれば、最適な運動法や食事の作り方、生活習慣など幅広い分野の情報が含まれている方が満足度は高まるからです。

7-3.常に最新情報をキャッチアップする

Web業界は激しく変化し続けています。例えば、SNSのシェアは常に一定ではなく、今後全く新しいSNSが登場してトップを奪うかもしれません。SEOもそうです。検索エンジンのコアアップデートなどでSEOのセオリーが一変する可能性もあります。

そのため、Webマーケティングにおいて過去に習得した知識や情報をアップデートしないでいると、いつの間にかその内容が陳腐化し、これまで良しとしていた施策の効果が落ちてしまうという事態を招きかねません。常に最新のマーケティング情報をキャッチアップしていく努力が不可欠です。

とはいえ、実際は簡単なことではありません。自社だけで情報収集を行うのが難しい場合は、Webマーケティングの最新事情に精通したWeb制作会社・コンサルティング会社から情報を得るという方法もあります。

8.まとめ

Webマーケティング施策には多くの種類があり、それぞれに特徴や適したシーンがありますマーケティングの目標・戦略を踏まえて自社に合った施策を見極め、優先順位の高いものから実施していきましょう。行った施策の効果検証とPDCAも重要です。さらに、Web関連のトレンドやテクノロジーは絶えず変化しているため、施策に関する知識・情報を継続的にアップデートして適応していく必要があります。

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