Webブランディングとは?行う目的・メリットと実施方法
ユーザーの情報収集手段がWeb中心となっている現在、Web上でのブランディングの重要性が高まっています。本記事ではブランドの意味やブランディングの必要性、Webブランディングの目的やメリット、Webブランディングの進め方について解説します。記事の最後でWebブランディングの事例にも触れています。
目次
1.Webブランディングとは何か
Webブランディングについて触れる前に、まず、ブランディングに関する用語を正しく理解しましょう。ここでは、ブランディングの基礎知識として、ブランドの意味やブランディングの定義、Webブランディングの意味について解説します。
1-1.そもそもブランドとは?
ブランドとは、企業とその企業に関わるステークホルダーを結ぶ「場」です。ステークホルダーには、顧客や取引先、ユーザーや消費者、求職者など社外の人だけでなく、株主や社員など社内の人も含まれます。
顧客にとってのブランドとは、企業や製品・サービスを他社のそれと識別するための概念です。つまり、顧客が特定の企業や製品・サービスに対して持っている印象や好感度、連想するものなどのイメージ群がブランドといえます。
また、企業や社内関係者にとってのブランドとは、自社が保有する製品・サービスそのものや、他社のそれと区別するためのブランドロゴやシンボルマーク、キャッチフレーズやネーミングなど、さまざまな無形資産です。
1-2.ブランディングの定義
ブランディングとは、自社ブランドの認知や定着をステークホルダーに対して行う取り組みを意味します。例えば、ブランドを保有する立場である企業が、ターゲットである顧客などに対して、自社ブランドへの周知や好感度向上、他社との差別化を促す施策です。
社外を対象とするブランディングを「アウターブランディング」、社内を対象とするブランディングを「インターナルブランディング、もしくはインナーブランディング」といいます。アウターブランディングはマーケティング活動の一環としてその根底に置くべき概念であり、「自社や自社サービスをどのようにターゲットに印象付けたいか」です。インナーブランディングは社員に自社ブランドへの理解や誇りを持たせ、ブランド価値をさらに高める点に意義があります。
1-3.Webブランディングの意味
Webブランディングとは、Webチャネルにおける顧客とのコミュニケーションを通して行うブランディング活動の手法です。
企業はWebサイトやSNS、インターネット広告やメールなどを通してターゲットとの接点の強化や自社ブランドの認知向上、ブランドイメージの浸透を図ります。なかでも、Webブランディングにおける主要チャネルとなるものがWebサイトです。
Webは、現代のターゲットの情報収集や比較検討、利用する製品やサービス選択における主な手段であるため、ブランディングに欠かせません。顧客と企業が最初に接触する機会がWebであるケースも多いだけに、Webブランディングは非常に重要です。
2.Webブランディングの目的
Webブランディングを実施する主な目的は次の2つです。
- ブランドの認知度を高める
- ブランドの魅力・価値を発信する
それぞれについて以下で解説します。
2-1.ブランドの認知度を高める
Webブランディングの目的の1つは、企業や製品・サービスのブランドの認知度を上げることです。
SNSでユーザーとの接点を強化したり、広告でブランドの特徴や企業からのメッセージをコンパクトに発信したりすることは、潜在顧客との関係創出や既存顧客との関係強化に繋がり、ナーチャリングやLTV・売上アップが見込めます。
WebブランディングにおいてはWebサイトが起点・あるいは集客の受け皿になることも多く、デザインや機能において工夫を凝らしたWebサイトを用意することが成功のカギになる場合があります。
2-2.ブランドの魅力・価値を発信する
Webブランディングのもう1つの目的は、企業や製品・サービスのブランドが持つ魅力や価値をユーザーに伝えることです。ただ知名度が上がればよいというものではなく、好ましいイメージで認知してもらうのが本来のブランディングの役割といえます。
自社Webサイトには、ユーザーの疑問や要望に応えられる有用なコンテンツを掲載しましょう。加えて、「視認性が高くユーザーの求めているコンテンツを見つけやすい」「ページ遷移がスピーディ」といったユーザビリティの高さにも注意を払ってください。Webサイトを通してコンセプトやメッセージを感じる「体験」は、ユーザーが自社ブランドの魅力を認知するうえで効果的なフローです。
3.Webブランディングを行うメリット・期待できる効果
Webブランディングの主なメリットや効果は次の3つです。
- 指名買い・指名検索の増加が期待できる
- 自社のポジショニングを明確化できる
- ターゲットに正しいメッセージを発信できる
3-1.指名買い・指名検索の増加が期待できる
Webブランディングによってブランドへの認知や共感・信頼を獲得することで、指名買いや指名検索の増加が期待できます。
指名買いとは、買い物をしたいユーザーが製品・サービスを探す時に、ジャンルの種類ではなく特定の製品名やブランド名を指定し、購入することです。指名検索とは、特定のブランド名・サイト名などを指定してインターネット検索することを指します。
指名検索の増加は、ブランディングが機能しており、自社製品・サービスに対する購買意欲が高いユーザーを多く獲得できていることを意味します。また、指名検索の増加はSEOにおいても重要です。
指名買い・指名検索を増加させるためには企業・製品・サービスに対する知名度と信頼を高めるブランディング戦略が欠かせません。そういった観点からも、ブランディングを目的とした自社Webサイトを充実させるのは効果的といえます。
3-2.自社のポジショニングを明確化できる
ブランディングの2つ目のメリットは、ブランディング活動を通して「自社はどのような企業なのか」「自社が目指すものは何か」といったCI(Corporate Identity)を明確化できることです。
企業が発信するブランドは、自社の特徴や強みなどを磨いて競合他社との差別化を図ることや優位性をアピールすることによって、受け手が容易に競合他社と識別できるものである必要があります。そのためには、まず、市場における自社の立ち位置や目的意識、すなわち、一貫性のある自社のポジショニングを自社内で明確にする必要があるのです。そこが曖昧なままでは、受け手に強い印象を残せるブランドを形成できません。
実績のある企業であっても、長い年月のうちに企業理念が形骸化しているケースもあるため、Webブランディングを機会にCIの見直しを検討することは有意義です。
3-3.ターゲットに正しいメッセージを発信できる
ブランディングによって、自社がターゲットに向けて伝えたいメッセージを正確に表現できます。
社内においては市場での自社のポジションや企業理念、ブランド像が定義できていたとしても、顧客が企業側の意図する通りにブランドイメージを解釈してくれるとは限りません。むしろ、企業側が伝えたいブランドイメージと顧客の抱くブランドイメージにはギャップがあるケースも多いでしょう。
例えば、企業側は高い技術力や開発力に基づく高品質な製品・サービスを訴求しようとしている場合でも、顧客側はそれを感じておらず、競合との差別化ができていない場合があります。
ブランディングを通じてブランドの詳しい情報を訴求することにより、企業側と顧客側の間に存在するブランドイメージのギャップを補正することが可能です。企業がターゲットに伝えたいメッセージを、伝わりやすい方法を用いながら継続的に訴求していくことによって、ブランドが正しく定着します。
4.Webブランディングの進め方・基本の流れ
ブランディングのためにWebサイトを制作する際の流れは、「コンセプト・ビジョン策定」「ターゲット設定」「デザイン・コンテンツ・体験の設計」「運営体制の計画」です。各工程について以下で解説します。
4-1.コンセプト・ビジョン策定
Webサイトでブランディングを行う際は、まず、自社のブランド価値をしっかりと定義する必要があります。自社製品やサービスのコンセプトを策定し、企業・事業部門としてのビジョンを整理して「自社のあるべき姿」を明確化したうえで、それらに基づいて伝えるべきブランドイメージを定義しましょう。
4-2.ターゲット設定
次に、Webサイトのメインターゲットを具体的に設定します。「ターゲットはどのような人か」によって、Webサイトにふさわしいビジュアルや実装すべき機能も変わってくるためです。自社が最も訴求したいセグメントやターゲット層に向けて着実に訴求しブランディングを成功させるために、具体的なペルソナ像を設定することが重要です。例えば、若い女性向けであれば柔らかい「色調のデザインや親しみやすい文体のテキストを用いる」、ビジネスユーザー向けであれば「視認性の高い書体やレイアウト、図表などを用いて比較検討しやすいように配慮する」など、ユーザー目線でサイトを設計する必要があります。
4-3.デザイン・コンテンツ・体験の設定
次に行う工程は、Webサイトのデザイン・コンテンツ・体験の設定です。上記で策定したコンセプトやターゲットのニーズに基づいてWebサイトの大枠となるサイト設計(UI/UX)を決め、配色やコンテンツ配置などの具体的なデザインを詰めていきます。ここでは操作のしやすさや情報の見つけやすさなど、ユーザビリティも重要です。Webサイトにおけるユーザー体験が快適であるように設計しましょう。
ターゲットに向けて伝えたいメッセージを整理したうえで、写真・イラスト・図表や動画、テキストなどさまざまな表現方法を盛り込みながら各コンテンツを制作し、Webサイトの情報訴求力を強化します。
4-4.運営体制の計画
リリース後の運営体制の計画・整備も欠かせない工程です。ブランディングを目的としてWebサイトを制作する際は、マーケティング担当者、UI/UX・デザイン担当者、システム開発担当者、プロジェクトマネージャーなど、さまざまな役割を持つメンバーが協業する必要があります。Webサイトの企画・要件定義から制作、リリース後の長期的な運用までを視野に入れた組織体制の構築が必要です。
ただし、全ての役割を社内で賄うリソースが不足しているケースもあるでしょう。そのような場合は、各分野の専門家が揃っている制作会社を活用する方法がおすすめです。
5.ブランディングに強いWeb制作会社の選び方
ブランディングに強いWeb制作会社を選ぶ際は、Webマーケティングの知見・Web制作能力や技術力・過去の制作実績をチェックしましょう。それぞれの基準について、以下で解説します。
5-1.Webマーケティングの知見
Webサイトをブランディングのツールとして用いるなら、マーケティング担当者がWebマーケティングに関して深い知見を持っていることは必須条件です。そのような人材が社内にいない場合は、Webマーケティングの経験が豊富なWeb制作会社に依頼することで課題を解決できます。豊富で実践的な経験に基づき、Webサイト制作の場面で効果的に活用できるさまざまなスキルを備えているWeb制作会社を選びましょう。
具体的には、コンテンツ集客戦略、カスタマージャーニーなどユーザー行動の設計・分析、CVR(コンバージョン率)の改善施策、規模によってはMAツールやCXツールなど各種マーケティングツール導入支援などを得意とするスタッフがいるWeb制作会社を選ぶことが大切です。
5-2.制作能力・技術力
上記の通り、Web制作会社がWebマーケティングやWeb施策に精通していることは重要なポイントです。しかし、ブランディングの効果を出せるWebサイトを制作するためには、知識や理論だけでは足りません。Webサイトの見た目(フロントエンド)やユーザーには見えない部分で動く機能(バックエンド)を構築できる制作能力・技術力が高いかどうかもチェックしておくべきポイントです。
独自性が高く競合他社サイトと差別化を図れるWebサイトを構築するためには、先進的なサイトの事例を常にインプットしているプロデューサー・ディレクター・デザイナーにくわえて、それをWebサイトに実装するスキルを持つエンジニアを含めたプロフェッショナルなチームが欠かせません。特に大規模なWebサイト構築プロジェクトでは、そのチームの総合力がプロジェクトの成否を分けていきます。
ブランディングを目的とするWebサイトは、自社ならではの特長や差別化ポイントをコンテンツ化させることでその効果を発揮します。それを実現するためには、上記のような優れた人材が多数在籍しているWeb制作会社を選ぶことが理想的です。
5-3.過去の制作実績
Web制作会社の制作能力を確かめる手段としては、過去の制作実績をチェックするとよいでしょう。
Web制作会社によっては、得意とするWebサイトのジャンルが偏っている場合がある点に注意が必要です。Webサイトにはブランディング目的のものだけでなく、コーポレートサイトやサービスサイト、採用サイトなど、多くの種類があります。また、Webサイトのページ数やコンテンツ数もさまざまです。過去にどのような業種・種類・規模のWebサイトを手掛けているかなどが、Web制作会社を選ぶ際の基準になります。
過去の制作実績をみれば、自社ブランディングサイトのコンセプトやターゲット層にマッチするかどうかの判断もしやすいでしょう。特に、コンサルティング領域にもコミットしており、大規模サイトや大手クライアントのWebサイトの制作実績が豊富なWeb制作会社なら、どのような要望にも対応できることを期待できます。
6.まとめ
Webサイトによるブランディングのメリットは、自社のブランド価値をターゲットに向けて正しく伝えられる点です。ブランディングを成功させるためには、自社のブランド価値を明確化してターゲットを絞り込み、ターゲットに合わせたWebサイトを設計・制作する必要があります。マーケティングに関する知見から制作技術力やリリース後の運用までをフルサポートできる人材がそろう、実績豊富なWebサイト制作会社を選びましょう。
コーポレートサイト制作
ターゲットユーザーすべてを見据え、競合他社を圧倒する企業・サービスのブランディング確立を目的としたコーポレートサイトを制作します。
ブランディング
Webサイト制作・構築を通じて、さまざまな領域のブランディングを手掛けてきた実績を活かし、お客さまのブランディングを推進します。