Webマーケティングのクリエイティブとは何か?制作のポイントと検証のコツ
Webマーケティングに取り組む企業にとって、避けて通れないのが最適なクリエイティブを見つけ出すことです。しかしクリエイティブは明確な正解のないものであり、そもそもどういった要素を盛り込むべきなのか、何を根拠に良し悪しを判断すべきなのか迷うことも少なくありません。
本記事では、Webマーケティングにおけるクリエイティブの概要を主に広告効果という切り口から紹介しつつ、そのポイントや手法について解説します。
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目次
1.Webマーケティングのクリエイティブとは何か
Webマーケティングにおけるクリエイティブとは、Webマーケティングのために作成される素材全般のことを指します。以下は主な例です。
- バナー画像
- 動画
- キャッチコピー
- マイクロコピー
こういった目に見える要素は、ユーザーの興味を引くために大きな役割を果たすものです。クリエイティブの違いが売上の違いなどにつながり、事業全体のパフォーマンスに大きく影響することも少なくありません。
Webマーケティングで成果を出すには、効果的で優れたクリエイティブを制作することが求められます。さらに作って終わりにするのではなく、制作後も検証を繰り返しながら、よりよいクリエイティブを探っていくことも重要です。
2.Webマーケティングで用いられるクリエイティブの要素
Webマーケティングでは、効果を最大化するためにさまざまなクリエイティブが使われます。ここでは主なクリエイティブの要素について、概要や特徴を解説します。
2-1.キャッチコピー・文章
キャッチコピーや文章などのテキストは、情報を伝えるためのベーシックな手段であり、多くのWebマーケティング施策で必要となるものです。例として以下のものが挙げられます。
- Web記事のタイトル・本文
- メルマガの件名・本文
- バナー広告に掲載するテキスト
- Webサイトに使用するマイクロコピー
- 動画のタイトル・サムネイル・テロップ・概要欄
記事や動画のタイトルやメルマガの件名などは、ユーザーが最初に目にする部分です。まずここでユーザーの興味を引けなければ、詳細な内容にまで目を向けてもらえません。
マイクロコピーとは、Webサイトのボタンや入力フォームといったユーザーインターフェースに添える短いテキストや確認メッセージ、エラーメッセージなどのことです。情報を補足したりユーザーの行動の障害となる要素を取り除いたりする重要な役割を持ちます。
2-2.キービジュアル・アイキャッチ
Web広告などにキービジュアルとして使用する写真やイラストなどの画像も、Webマーケティングにおいて重要な要素です。例として以下のものがあります。
- バナー広告のイメージ画像
- イメージキャラクター
- Webサイトのロゴ
- Web記事のアイキャッチ
ユーザーにインパクトを与えたり、具体的なイメージを持ってもらったりするには、それにふさわしいキービジュアルを選ぶことが重要です。鮮明なカラー画像を大きなサイズで掲載できるWebでは、キービジュアルが第一印象を左右するといっても過言ではありません。キービジュアルのクオリティーが低いと、印象が薄れてしまったり、何を伝えたいのかが分からなくなってしまったりすることもあります。
2-3.動画
Webマーケティング・コンテンツマーケティングにおいて、動画は次のような場面で使用されます。
- YouTubeの動画
- TVCMや動画広告
- Webサイトに設置する動画素材
動画はすでに写真と同じくらい身近なものであり、音声やテロップ(テキスト)と組み合わせることも可能で、静止画よりも多くの情報を伝えられるのがメリットです。さらに視覚と聴覚の両方で印象づけることができ、テキストや静止画だけでは説明しにくいことでも分かりやすく伝えられるという特性から、マーケティングにおいて広く使われています。
世界的な動画プラットフォームであるYouTubeをはじめ、TwitterやInstagramといったSNSでも動画の投稿が可能で、Webマーケティングにおいて欠かせない要素となっています。
2-4.レイアウト・色・タイポグラフィ
これまでに紹介してきたキャッチコピーや画像、動画などの素材をどのように組み合わせ、レイアウトするかという点もクリエイティブ要素に含まれます。
例えばテキストだけでも、「フォントの種類」「フォントの大きさ」「色」「配置(タイポグラフィ)」などで印象や視認性、可読性が変わってきます。
テキストや文章は内容だけきちんとしていればいいというものではなく、デザインも配慮することで訴求度合いに影響を与えるのです。
2-5.CTA
CTAとは「Call To Action」の略で、ユーザーに何らかのアクションを起こしてもらうための要素です。例えば「問い合わせ」や「資料請求」「ダウンロード」などへ導く画像やテキストが該当します。
Webマーケティングにおけるクリエイティブのなかでも、特に丁寧に検証する必要があるのが、CTAです。CTAのテキストやデザイン、設置場所などはコンバージョン率に直接影響しやすく、わずかな変更を加えただけでコンバージョン率が大きく変化することも少なくありません。
3.Webマーケティングで用いられる技術要素
Webマーケティングのクリエイティブの制作には、技術的な要素も大きく関わってきます。クリエイティブの要素を実際にユーザーに届け、正しく動作させるためには、それを実現するための技術が必須であるからです。クリエイティブ要素を形にするための技術的な要素について解説します。
3-1.フロントエンド
フロントエンドとは、Webサイトのなかでユーザーと直接やりとりをする部分のことです。フロントエンドで使用される言語には、以下のものがあります。
- HTML/CSS
- JavaScript
HTMLはWebサイトをブラウザで表示させるためのマークアップ言語です。普段から目にするありとあらゆるWebサイトで使われています。CSSはフォントのサイズや色を決めたり、レイアウトを整えたりするのに使われるスタイルシート言語で、Webサイトの見栄えを調節するために使用されます。
JavaScriptは、動的なWebサイトを作成するためのプログラミング言語です。入力された数字をもとに計算をしたり、アニメーションを実装したりなど、幅広いことが実現できます。
3-2.バックエンド
バックエンドとは、Webサイトのなかでユーザーの目には見えない根幹の部分のことです。バックエンドでは主に次のようなプログラミング言語が使われます。
- PHP
- Java
- Ruby
バックエンドは、ユーザーが入力した情報を蓄積したり、ユーザーに表示するための情報をデータベースから引き出したりする役割を持ちます。Webサイトのシステムそのものの構築も含まれるため、バックエンドが強力なWebサイトは機能を充実させたり処理速度を高速化させたりしやすく、運営において優位性を発揮できるのです。
3-3.データベース
データベースとは、多種多様なデータを集めて保存や編集、検索、抽出などをするためのものです。データをただ集めるだけでなく、整理した状態で扱えるのが特徴です。
近年はNoSQL型のデータベースの活用シーンが増えているものの、Webサイトのデータベースには、主にSQLというデータベース言語が使われています。SQLを使うことでデータベースを操作することができ、特定の条件に当てはまるデータを取得したい時や、すでに保存されているデータを変更したい時に役立ちます。
Webマーケティングにおいて、データ分析が大きな意味を持つことはいうまでもありません。データベースをどれだけ活用できるかが、Webマーケティングの成果に差をつけることもあります。
4.Webマーケティングのクリエイティブ制作のポイント
Webマーケティングのクリエイティブは、結果や成果に直結する重要なものです。クリエイティブ制作の過程で押さえておきたいポイントを解説します。
4-1.自社商品・サービスのイメージとマッチさせる
大前提として、自社の商品やサービスのイメージに合ったクリエイティブを心がけることが重要です。
どのような商品・サービスにも、「使いやすく親しみやすい」「便利で簡単」「スタイリッシュ」といったイメージがあるはずです。これらのイメージを軽視し、個人の好みや流行の表現に合わせたクリエイティブを生み出してしまうと、「広告と実際のイメージが違う」というマイナスの印象につながりかねません。
また、クリエイティブごとに異なるイメージを採用すると、認知度やブランドとしての価値にもよくない影響を与えてしまうでしょう。商品・サービスのイメージとマッチした、統一感のあるクリエイティブを制作することが大切なポイントです。
4-2.ターゲットユーザーに合わせる
ユーザーの特性に沿った、ターゲット層に響くクリエイティブを制作することも忘れてはならないことです。そのためにはまず、自社の商品・サービスのターゲット層を具体化することが重要です。
さらに、商品・サービスのターゲットとして設定した層だけでなく、誰に向けて広告を配信するかなど、そのクリエイティブで狙うターゲット層も考慮しなければなりません。
例えば高齢者向けの商品でも、実際に使うユーザー向けのクリエイティブと、その商品をプレゼントしたい層向けのクリエイティブでは、おのずと違いが出てきます。
4-3.クリエイティブ検証を行う
より効果の高いクリエイティブをマーケットに送り出すためには、「クリエイティブ検証」が必要不可欠です。
クリエイティブ検証とは、より効果の出るクリエイティブ要素を探るために、キャッチコピーや写真、動画、レイアウトといった各要素を変え、それぞれのクリエイティブでどの程度の効果があったのかを検証することです。
クリエイティブ検証をすることで、どのクリエイティブの効果が高かったかを判断できます。さらに「なぜ効果が高いのか」まで踏み込んで分析できるようになるため、再現性のあるノウハウとして蓄積できる点も大きいでしょう。
クリエイティブ検証は主に、「A/Bテスト」と呼ばれるテストによって行われます。A/Bテストについて詳しくは、次の項目で解説します。
5.Webマーケティングのクリエイティブ検証の方法
Webマーケティングでより高い効果を得るには、クリエイティブ検証が欠かせません。ここでは、クリエイティブ検証はどのように進めたらよいのかを解説します。
5-1.検証の目的を決める
まずは検証を行う目的や目標を設定し、何のために検証をするのかを明らかにします。クリエイティブ検証では基本的に、目的・目標の達成率が改善したかどうかで効果を見きわめるためです。
Webマーケティングにおける目的や目標には、次のようなものが考えられます。
- クリック率アップ
- コンバージョン率アップ
- 購入単価アップ
アクセス解析などをして、ボトルネックになっている部分を見極めることで改善すべき部分を洗い出せば、目標を立てやすくなります。
例えばWebページのアクセス数が高いのに、申し込みフォームへのリンクがクリックされていなければ「クリック率の改善」が目標となるでしょう。クリックされているのにもかかわらず申し込みにつながっていないのであれば、「コンバージョン率アップ」が目標となります。
5-2.仮説を立ててから検証する
これといった根拠がない状態で、テキストの内容や色、要素の配置などをやみくもに変えて検証するだけでは、「このクリエイティブはなぜ効果が高いのか」という検証にはつながりません。クリエイティブを変える際は、「このように修正すればユーザーはこのように感じ、そのうえでこういった行動を取るため、改善するのではないか」と仮説を立ててみることが重要です。
そのためには、ターゲットとするユーザー層のニーズや好み、行動特性、閲覧時の心理などをじっくりと考慮し、意味のある仮説を立てながら検証していくことが求められます。
5-3.A/Bテストの実行
仮説に基づいたクリエイティブを用意したら、実際にA/Bテストを実行します。A/Bテストとは、「Aパターン」「Bパターン」といった複数のパターンを用意し、それぞれのパターンで成果がどのように違うかを比較するテストのことです。
A/Bテストの方法は、大きく分けて「逐次テスト」と「並行テスト」の2種類があります。逐次テストは「第1週目はAパターン、第2週目はBパターン」のように期間を別々に設ける方法です。一方で「並行テスト」では、同じ期間内にAパターンとBパターンをユーザーごとにランダムで表示させ、同時に検証します。
「逐次テスト」には特別なツールが必要ない一方で、「並行テスト」を実行するには専用のツールなどを使用するのが一般的です。
5-4.結果を分析して検証を繰り返す
A/Bテストを実施したら、結果を分析します。ここで立てた仮説の通りの効果が立証されたのであれば、クリエイティブを広告やWebページに実装し、いったんは完了です。
もしも仮説と異なる結果が出たり、大きな違いが出なかったりした場合は、新たな仮説を立てて検証を繰り返す必要があります。
効果の高いクリエイティブは、簡単に生み出せるものではありません。いくつもの仮説を立ててテストを行い、結果を分析して検証を繰り返すことで実現できるものなのです。
6.まとめ
Webマーケティングにおけるクリエイティブは、成果に直結するものです。効果の高いクリエイティブを作成するには、まず「商品やサービスを使うのには誰なのか」「広告を誰に届けるのか」を考え、「どういったクリエイティブが最も適しているのか」を考えなくてはいけません。そのうえで仮説を立ててテストと分析を行い、検証を繰り返して、もっとも効果のあるクリエイティブを見つけることが大切です。
また、Webマーケティングである以上、クリエイティブを支える技術面も重要な柱となります。ユーザーに訴求できる質の高いクリエイティブを生み出すには、作り手がユーザーのことを理解してコンセプトを整理し、適切な技術でイメージを具現化することが欠かせません。
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