リードとは?マーケティングで重要なリード管理の3つのプロセスを解説
ビジネスを成り立たせるには、顧客に商品やサービスを購入してもらわなければなりません。顧客を増やし販路を拡大するためには、見込み顧客を継続的に獲得することが求められます。マーケティングにおいて、将来顧客になる可能性がある見込み顧客、あるいは成約につながる可能性がある問い合わせは「リード」と呼ばれています。本記事では、リードの概要や分類、さらにリード管理のプロセスやプロセスごとに有効なマーケティング施策について解説します。
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目次
1.マーケティングにおけるリードとは
マーケティングにおけるリードとは、「企業にとっての見込み顧客」あるいは「商品・サービスへの問い合わせ」のことです。
リードの代表的な例として、資料請求や会員登録をした人などの「企業がメールアドレスを取得した人」が挙げられます。また、企業公式SNSのフォロワーや自社のWebサイトを閲覧しただけの人なども含まれるため、幅広い定義を持つ言葉だといえるでしょう。オンライン以外では、対面して名刺を交換した人やセミナー参加者なども含まれます。
営業活動を効率化するためには、リードを適切に管理することが求められます。なぜなら見込み度はリードによって差があり、どのようなアプローチをすべきかがそれぞれ異なるからです。リードを適切に管理できていれば、見込み度の高いリードに絞り込んだうえで営業担当者が直接対応するなどの対応が可能になり、限られたリソースを適切に活用できるようになります。
2.マーケティングにおけるリードの分類
マーケティングにおいてリードは、見込み度合いによって分類するのが一般的です。まずはリードをどのように分類するのかについて解説します。
2-1.MQL(Marketing Qualified Lead)
MQLとは、マーケティング活動によって創出されたのちにマーケティング担当者によって絞り込まれ、見込み度が高いと判断されたリードのことです。「ホットリード」と呼ぶこともあります。
この絞り込みは、MA(Marketing Automation)ツールによって自動的に行われることも少なくありません。リードを絞り込み選別することを「リードクオリフィケーション」といいます。リードクオリフィケーションの詳細については後述します。
MAツールによって自動的に絞り込まれたリードは、まずマーケティング担当者が確認し、営業部門の担当者に渡すか否かを見極めます。また、営業部門の担当者に渡す前にインサイドセールスの担当者に回して電話営業などをかけ、さらに絞り込んでいく場合もあります。
2-2.SQL(Sales Qualified Lead)
SQLとは、営業部門の担当者によって見込み度が高いと判断されたリードのことです。つまりマーケティング担当者から営業担当者へ渡ったのち、さらに絞り込みをしたリードを指します。SQLは「SAL」と「SGL」の2種類に分けることができます。
SAL(Sales Accepted Lead)とは、マーケティング部門が獲得したのちに営業担当者が受け取ったリードのことです。一方でSGL(Sales Generated Lead)とは、営業部門が活動して直接獲得したリードのことを指します。
SQLはマーケティングの担当者が直接扱う部分ではないものの、営業部門がSQLの絞り込みをスムーズに行えるよう、連携体制を整えることが重要です。
3.リード管理の3つのプロセス
ビジネスにおいて、リードの適切な管理が重要な意味を持つことはすでにご紹介した通りです。ここでは、リード管理の3つのプロセスについて解説します。
3-1.リードジェネレーション
リードジェネレーションとは「見込み顧客の獲得」のことです。例えるのであれば、収穫を目指し畑に種をまく段階だといえるでしょう。
リードジェネレーションには次のような手法があります。
- Web上での問い合わせや資料請求受付による連絡先獲得
- Web広告による認知度アップや自社Webサイトへの誘導
- 対面での名刺交換
- セミナーやイベントの開催
このように、Webマーケティングによるリードジェネレーションもあれば、オフライン活動を通じたリードジェネレーションもあります。適している方法は、業種や扱う商品・サービス、かけられるコストなどによって異なります。いずれにせよ、さらなるコミュニケーションへつなげられる状態にすることが重要です。
3-2.リードナーチャリング
リードナーチャリングとは「見込み顧客の育成」のことです。これは作物に肥料や水を与える段階だといえます。
リードナーチャリングには次のような手法があります。
- メールマガジンによるアプローチ
- セミナーやイベントへの呼び込み
- 顧客にとって役に立つコンテンツの提供
- トライアル期間の実施
リードナーチャリングの目的は、見込み顧客の購買意欲を高め、実際の購入や契約に結びつけることです。そのため不動産の購入やBtoBビジネスといった、高額でなおかつ検討期間が長くなりがちな取引において特に重要だといえるでしょう。取引金額が大きくなればなるほど、1件の取り逃がしが大きな損失へとつながるのはいうまでもありません。
3-3.リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションとは「見込み顧客の選別」のことです。例えるのであれば、実を付ける可能性が高い作物を選ぶことだといえるでしょう。
リードクオリフィケーションでは、一般的に「スコアリング」という手法が使われます。これは例えば「Webページを閲覧したら1点」「Webページから問い合わせをしたら10点」のように顧客が取る行動にそれぞれ点数を付け、合計点数が高いほど購入や契約に至る可能性が高いとみなす方法です。顧客のスコアは、MAツールを活用することで自動で可視化できます。
リードクオリフィケーションによってMQLやSQLを絞り込むことで、より効率的な営業活動が可能になります。
4.リードの獲得・育成・絞り込みに活用されるWebマーケティング施策
リードとひと言で表現しても見込み度は個々に異なり、プロセスごとに適切なアプローチ手法が異なります。リードの獲得や育成、絞り込みに役立つ具体的なWebマーケティングの施策について解説します。
Webマーケティングについては、こちらの記事も合わせてご覧ください。
4-1.オウンドメディア運用
オウンドメディアとは企業が自ら保有しているメディアのことです。Webメディアを指すことが多いものの、広い意味ではパンフレットなどの紙媒体も含まれます。
オウンドメディアの運用は、リード獲得の手段として有効です。Googleをはじめとする検索エンジンで調べものをしている顧客がWeb上で展開するオウンドメディアにたどり着けば、自社の商品・サービスやブランドそのものへの認知度を獲得できます。
また、オウンドメディアで信頼性のある有益な情報を提供し、顧客が抱える困りごとや課題を解決へと導くことは、リードの育成にもつながります。
4-2.Web広告
Web広告とは検索エンジンの検索結果画面やスマホアプリ、SNSなど、Web上に表示される広告全般のことです。主にリード獲得のために活用されます。
Web広告は自社や商品・サービスへの認知度を高め、資料請求や資料ダウンロードなどのページへ誘導し、メールアドレスや電話番号といった連絡先を取得するのに役立ちます。Web広告は顧客の行動履歴や属性に合わせた配信が可能でコストを抑えやすく、なおかつ効果を測定しやすいのがメリットです。
また、これまでにWebサイトを訪問したことがある人を狙う「リターゲティング広告」であれば、リードの育成にも活用できます。
4-3.SNSアカウント運用
「Twitter」や「Instagram」などのSNSに企業の公式アカウントを開設し、適切に運用していくことは、リードの獲得および育成に効果的です。
まずリードの獲得においては、SNSに情報を掲載し拡散してもらうことで自社の商品・サービスに対する認知度向上が期待できます。SNSでは、アカウントのフォロワー全体をリードとみなして差し支えありません。
また、フォロワーと積極的に交流を持ち顧客ロイヤルティを向上させることは、リードの育成につながります。双方向のコミュニケーションが可能なSNSは、Webマーケティングにおいて重要な役割を果たすものなのです。
4-4.メルマガ
企業が配信するメールマガジンは、リード育成の代表的な手法の1つです。メルマガの配信に必要なメールアドレスは住所や電話番号よりも比較的入手しやすく、導入や運用にかかるコストも低いため、さまざまなビジネスで取り入れやすい方法だといえるでしょう。
とはいえ、企業の伝えたいことをただ流せばよいというものではありません。より高い効果を得るためには、顧客の熱意や興味に合わせて内容を調整する「セグメントメール」やメール送信作業の効率化・自動化がポイントとなります。そのためにはMAツールの活用が重要となる場面も多いでしょう。
さらに配信後はメルマガの開封率やURLクリック率などを計測し、内容が適切だったかどうかを見きわめることも重要です。顧客にとって興味や関心がある内容へとブラッシュアップしていくことで、より高い効果を期待できるようになります。
4-5.ウェビナー
ウェビナーとはWeb上(オンライン)で行われるセミナーやイベントのことで、リードナーチャリングに効果が出やすい手法です。
セミナーで参加者に有益な情報を伝えたり、商品・サービスの魅力をアピールしたりすれば、購入や契約に向けて顧客の興味・関心を高められます。ウェビナーであればオフラインで行われるセミナーに比べて参加しやすく、なおかつその様子を録画しておくことで動画コンテンツとして活用できる点も大きいでしょう。
さらに、わざわざ時間を割いて参加してくれる顧客はそうでない顧客よりも関心度が高いと判断できるため、リードの絞り込みにもつながります。
5.リード情報を効果的に活用するためのポイント
リード情報はただ集めればよいというものではなく、適切に管理してビジネスに役立てていくことが求められます。膨大になりがちなリード情報を効果的に活用するためのポイントを解説します。
5-1.リード情報をツールで一元管理する
リード情報は、ITツールを使って一元管理することが重要です。Excelなどで管理することも不可能ではないものの、顧客数やデータの項目が増えれば、いずれ管理しきれなくなってしまうでしょう。
前述したリード管理の3ステップに関しては、いずれの施策も自動化できる便利なツールが存在します。
リード管理に使われるツールにはCRM(Customer Relationship Management)やMA(Marketing Automation)、SFA(Sales Force Automation)などさまざまな種類がありますが、まずは必要な機能の有無や性能で比較することが重要です。
リード管理ツールの代表的な機能は以下の通りです。
- リードのステータス管理
- リードのスコアリング機能
- メルマガなどの情報配信機能
ステータス管理とは、「担当者が対応中」などの対応状況を共有するための機能です。これにより、取りこぼしや顧客への連絡が重複してしまうことを防げます。
リードのスコアリング機能は、すでにご紹介したリードクオリフィケーションに必須ともいえる機能です。見込み度を見極める際に役立ちます。
メルマガなどの情報配信機能は、セグメントメールやステップメールの送信を行うための機能です。リードナーチャリングのためにメルマガを取り入れるのであれば、必須の機能だといえるでしょう。
5-2.カスタマージャーニーマップを作成する
リードを獲得後、購入や契約に至るまでの一連の流れを設計するためには、カスタマージャーニーマップが役に立ちます。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品・サービスを購入するまでの行動や考え、感情などを1枚の図にまとめたものです。カスタマージャーニーマップがあれば、リードがリード管理の3ステップにおいてどこにいるのかを可視化しやすくなります。さらにリードクオリフィケーションのための適切なスコアリングやシナリオプランニング、課題の洗い出しなどにも有効です。
逆にカスタマージャーニーマップがない状態では、リードへ適切なアプローチをすることが難しいといわざるを得ません。
5-3.営業部門とスムーズに連携できるようにする
リードの情報をマーケティング部門から営業部門へとスムーズに受け渡せるよう、部門間で連携を取りやすい環境を整えることも重要です。
リード情報は、連絡先だけを伝えればよいというものではありません。「いつ、どこで、どのような経緯で発生したリードなのか」「顧客は商品・サービスをどのように使いたいと考えているのか」など、営業活動の参考になるくわしい情報も含めて渡せるようにする必要があります。
この点に関しても、リード管理のITツールが役に立ちます。せっかくのリードを失ってしまわないよう、部門間の連携がしやすいツールを選ぶことが大切です。
6.まとめ
マーケティングにおけるリードとは見込み顧客のことです。リード管理のプロセスは「獲得」「育成」「選別」という3つに分けられ、それぞれの段階ごとに有効なマーケティング施策が異なります。
特にWebマーケティングにおいてリード情報を最大限に活用し、販売や契約につなげるには、リード情報の適切な管理が重要です。膨大なリード情報を扱いつつ施策を実行していくには、専用ツールの活用がカギとなってくるでしょう。結果を出すためには、マーケティング担当と営業担当との連携も求められます。
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