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BtoBブランディングの必要性や進め方・成功事例を解説

BtoB企業では、従来のプロモーションにおいて製品・サービスの魅力や自社の強みをアピールするのが基本でした。しかし、ある程度市場が成熟してきた業界では、製品・サービスの質や価格での差別化が難しいケースもあり、BtoB企業でもブランディングの重要性が高まっています。

本記事では、BtoBブランディングの必要性やBtoBブランディングに取り組んでいる企業事例、ブランド構築の具体的な進め方についてお伝えします。

1.BtoB企業におけるブランディングとは何か

企業規模を問わず多くのBtoB企業がブランディングに力を入れています。

そもそもブランディングとは、自社への「独自性」と「感情移入」を形作るための活動全般に使われる言葉です。自社の個性や親しみを顧客に強く感じてもらえるブランドは、競合他社との差別化要因となります。

これをふまえ、BtoB企業におけるブランディングとは、顧客企業や株主、求職者といったステークホルダーに向けて、自社ブランドへの「期待感情」を高める活動を指します。「他社にはない製品・サービスを、独自の方法で提供してくれる」という期待を促すことで、「新規顧客の獲得」や「既存顧客の囲い込み」「自社の理念に共鳴した人材の採用」につなげるのです。

ブランディング

2.BtoB企業がブランディングに取り組む必要がある理由

BtoB企業のブランディングの効果を、以下の3点に絞ってより詳しく見ていきましょう。

  • 営業活動の効率
  • 社内メンバーのパフォーマンス
  • 採用力

BtoB企業の多くは、製品力や営業力を中心にビジネスの拡大を図っていますが、ブランディングを強化することで、さらなる成長を目指せるようになります。

2-1.営業活動の効率を高めるため

BtoBブランディングでブランド力を高めることで、営業活動の成功率が高まります。強いブランド力があれば、企業や製品・サービスに対する顧客からの知名度や信頼、理解度、期待値が上昇するためです。

ブランド力によって顧客にとっての魅力が底上げされた状態においては、競合他社よりも優位に営業活動を行うことができます。似た製品・サービスを提供する企業であっても、ブランド力がある企業のほうが効率よく成果を出せるでしょう。新規顧客を獲得しやすいうえ、既存顧客の解約率低下、顧客単価・顧客生涯価値の上昇が見込めます。

2-2.社内メンバーのパフォーマンスを高めるため

BtoBブランディングに注力し、社内にもブランドが根付くことにより、社員のパフォーマンスにも好影響を与えます。社内に対するブランディングは、特に「インナーブランディング」または「インターナルブランディング」と呼ばれています。

例えば、社員数が増え組織が大きくなれば、方針・意見の不一致が起こりやすくなる場合があり、企業へのエンゲージメントやモチベーションの維持が難しくなることがあります。エンゲージメントやモチベーションが下がれば、生産性の低下や離職率の上昇を招きかねません。

そこで、BtoBブランディングとともにインナーブランディングも進めて価値観を浸透させれば、社員は企業トップや他メンバーと同じ方向を向いて仕事ができるようになり、その企業で働く意義を見出しやすくなります。企業へのエンゲージメントやモチベーション、チームの結束力を高める効果が見込めるのです。

2-3.採用力アップのため

社内外からのブランド評価が固まることで、求職者からの印象もアップし、人材の獲得にもつながる効果も期待できます。

一般的にBtoC企業は、業界内でのブランドが確立できれば、認知のための積極的なブランディングを行わなくてもある程度事業拡大が可能です。しかし、BtoB企業は顧客が消費者でないことから、BtoC企業よりも企業名を知られる機会が少なく応募者集めで不利になることがあります。BtoBブランディングに取り組むことで名前が知られるようになるだけでも、採用の難易度が下がるのです。

また、ブランディングにより企業の価値観や魅力的な将来のビジョンを提示できれば、自社にマッチする人材が集まりやすくなります。新卒採用においてはエントリー数や内定承諾率も増えるでしょう。

3.BtoB企業のブランディング戦略の事例

BtoB企業でもブランディングに力を入れており、広く名前が知られている企業は多くあります。

  • 日本紙パルプ商事株式会社
  • freee株式会社
  • 村田製作所

ここでは、上記3つの企業について、どのようなブランディング戦略を行っているのか見ていきます。

3-1.日本紙パルプ商事株式会社

日本紙パルプ商事株式会社は、世界でもトップクラスの紙専門商社です。創業は1845年、東証プライム市場上場でグループ会社は国内外で100社を超えます。

同社は、コーポレートブランディングに投資する企業が珍しい業界であるからこそ、「グループアイデンティティの確立」を目的にブランディングに注力してきました。一方、顧客が固定化されやすいという業界にあって、Webサイトからの新規顧客の獲得は積極的に行ってはいませんでした。

そこで、コーポレートサイトのリニューアルによって、競合優位性や事業への想い、理念、自社の強みなど企業像を多角的に訴求できるコンテンツが充実したWebサイトを制作。「コーポレートPR」と「ブランディング基盤の基盤づくり」を実現しました。完成したWebサイトは、「第7回Webグランプリ優秀賞」を獲得し、社内外でのコミュニケーションやリレーションづくりの起点としてブランディングに寄与しています。

3-2.freee株式会社

freee株式会社は、中小企業・個人事業主向けの事務管理を効率化するサービスを提供しているフィンテック(Finance + Technology)企業です。2012年創業という比較的若い会社ですが、2019年に東証マザーズへの上場を果たしました(現:東証グロース市場上場)。

freee株式会社のミッションである「スモールビジネスを、世界の主役に。」を実現させるため、2021年にリブランディングしました。新たなブランド指針では、スモールビジネスに関わる誰もが自然体で自由に経営できる環境構築をコアとしています。具体的には、新たなビジョンの策定や、ロゴマーク・カラー・イラスト・アイコンの再構築による世界観のアップデートを行いました。

ブランドの刷新で「自社らしさ」をより明確に示すことで、社内外の認識統一を促進させたという事例です。

3-3.村田製作所

村田製作所は、「世界のムラタ」と称される世界トップクラスの電子部品メーカーです。スマートフォンやテレビに必須のコンデンサを主力としており、世界で使われているセラミックコンデンサの40%をムラタグループが生産しています。

日本を代表する村田製作所のコーポレートサイトは、「BtoBサイトコンテンツコミュニケーション力診断2021編」で1位を獲得。この診断は、企業のブランドやWebサイトの調査を行っているトライベック・ブランド戦略研究所が、企業サイトについてユーザーの共感・好感や購買動機の喚起に関する4つの評価軸から順位付けをしているものです。

同社Webサイトはいずれの評価軸でも高評価を得ていますが、特にポイントが高かったのが、ブランドへの共感や理解を促すコンテンツを評価する項目です。平均点が69.34点のなか、村田製作所のWebサイトは97.78点を獲得。「村田製作所らしさ」が伝わるコンテンツを充実させたコーポレートサイトづくりに成功しています。

4.BtoB企業のブランディングの進め方

BtoB企業は限られた顧客層に向けたアピールが主となりやすいため、ビジネスの可能性を広げるためのブランディングを意識する必要があります。BtoC企業のブランディングとは異なるアプローチも求められるため、BtoB企業に適したブランディングの進め方を確認していきます。

4-1.市場・競合の分析をする

まずは、市場の動向や競合他社を含む「外部環境」の分析から始めます。特に注目すべき項目として以下が挙げられます。

  • 市場の将来性
  • 売上規模の推移
  • 市場における主要トピック
  • 技術トレンド
  • 主要サプライヤー/バイヤー
  • 原材料動向
  • 該当市場の人材状況
  • 競合他社のブランディングの軸

成熟している市場においては、製品・サービスのコモディティ化が進み、差別化が難しくなることがあります。加えて、BtoB企業の顧客の絶対数はBtoC企業のそれに比べて少ないため、ブランド力の差が生き残るためのカギといえます。市場・競合他社の動向を整理しておくことで、自社のポジションを把握しやすくなり、ブランディングの方向性を明確化できるでしょう。

4-2.自社の分析をする

続いて、市場における自社の現状「内部環境」を分析します。自社の分析では、下記の項目を深く知ることがポイントです。

  • 自社の資産
  • 創業時のストーリー/歴史
  • 企業文化
  • リソース(ヒト/モノ/カネ/情報)
  • 社会との関わり方
  • 製品・サービスのコンセプト
  • 市場での強み
  • 社内における自社ブランドの理解度

SWOT分析や3C分析、5S分析といったマーケティングのフレームワークも必要に応じて活用することで、自社の理解が深まります。

また、採用のハードルが上がりやすいBtoB企業だからこそ、ブランディングによる社員の定着率の向上を目指したいところです。人材の囲い込みはもちろん、ブランディングの足並みを揃えるためにも、社内における自社ブランドやBtoBブランディングの目的を整理しておきましょう。

4-3.ブランドを構築する

外部環境・内部環境の分析結果をふまえて、自社のBI(ブランドアイデンティティ)の構築を始めます。BIとは、顧客や市場から得たい自社ブランドや製品・サービスのイメージです。

BIは、ブランドの方向性と差別化要素を確立する軸となります。自社の強み・魅力に即しており、かつターゲット顧客のニーズとマッチしているものが適しています。社内外の人に分かりやすいよう、「自社をどう認識してほしいのか」「自社がどのような独自の価値を提供できるのか」を簡潔で理解しやすい言葉に落とし込むことが重要です。

4-4.ブランドの発信方法を計画する

最後に、構築したBIを顧客・社内に浸透させる計画を立てます。具体的には、ブランドのキャッチコピーやロゴの作成、宣材写真の撮影、ブランディングを行うマスメディアの選定などです。

ブランドを発信するメディアは、アプローチする相手によって変えるのが効果的です。BtoB企業の場合、集客につながるWeb広告・Webサイトや、見込み顧客と接点を持てるSNS、業界内に直接アプローチできる業界メディア・業界イベントなどが活用できます。

BtoB企業のブランディング

5.BtoB企業のブランディングにおけるWebサイトの役割

BtoB企業のブランディングにおけるWebサイトは、企業あるいは製品・サービスの顔として、ブランドイメージに大きな影響を与えます。例えば、Webを使ったブランディングでは、Web広告から自社Webサイトに誘導しCV(コンバージョン)につなげる流れが定番の1つです。

近年は、顧客との最初の接点がオフラインだったとしても、オンラインで情報収集や購買行動を行うことは当たり前となっています。そのため、Webサイトの出来が、問い合わせ獲得数や売上の増加、ひいては業績そのものに大きく影響するのです。

Webサイトによる認知拡大・リード獲得では、コーポレートサイトのほか、見込み顧客を育てる「Webマガジン・ブログ」や、採用ターゲットに訴求するための「採用サイト」、特定の製品・サービスを紹介する「ブランドサイト」など、目的に応じて複数のWebサイトを運用するのが有効です。

ブランディングにおけるWebサイトの役割と制作会社の選び方

6.BtoBブランディングに強いWeb制作会社の選び方・チェックポイント

最後に、ブランディングのためのWebサイトを制作する際に押さえておくとよい、Web制作会社の選び方・チェックポイントをまとめてお伝えします。Web制作会社にもそれぞれ得意分野があるため、BtoB企業のブランディングに強い会社を選べるかがキーポイントです。

6-1.Webデザインに強い会社か

BtoBブランディングにおいて、WebサイトのデザインはPV・CVに直結する重要な要素です。

自社ブランドをイメージするビジュアルはもちろん、「見やすい・使いやすい・情報を探しやすい」といった機能性が求められます。Webデザインによっては、メインコンテンツにたどり着く前にユーザーが離脱してしまうことも少なくありません。Webサイトのデザインがそのまま企業への印象となると考えてよいでしょう。

業界やブランドの方向性によっては、「おしゃれすぎる」「美しすぎる」デザインがマイナス効果を生む可能性も否めません。BIやターゲット顧客をよく理解し、自社に合ったデザインを提案してくれる制作会社であれば、ブランド力を高めるWebサイトが期待できます。

Webデザイン制作会社のおすすめの選び方や理想のデザインを実現するコツ

6-2.マーケティング戦略の提案ができるか

ブランディングはマーケティングの一部です。ブランディング効果が薄いWebサイトでは、リソースが無駄になるだけでなく、ブランド確立への影響が出かねません。よって、Web制作会社を選ぶ際は、「Webサイトを使ったマーケティング戦略の提案ができるか」も重要です。

BtoB企業の場合、商材によってはWebサイトに会員制のクローズドなページを導入することもあります。自社ブランドの方向性や強み、潜在顧客の心理、必要な機能をふまえつつ、CVを上げるためのマーケティングが求められるのです。マーケティングにはさまざまな手法がありますが、具体的な事例や施策内容の提案を受けて検討する必要があります。

マーケティングに強いWebサイト制作会社を選ぶメリットと5つの施策例

6-3.BtoB企業での実績があるか

BtoB企業のWebサイト制作の実績があるかも確認したいポイントです。BtoB企業の場合、新規顧客の獲得もさることながら、既存顧客との関係維持や信頼関係の構築が重要となります。また、BtoB企業とBtoC企業では、顧客の意思決定・購入プロセスが大きくことなるものです。つまり、ターゲットへのアプローチ方法やWebサイトの設計も、BtoC企業のWebサイトとは変える必要があります。

もう1つのポイントとして、大企業になればなるほど、より大規模かつ高度なWebサイトが必要となります。そのため、過去に大企業あるいは大規模サイトの制作実績があるかも把握しておきたいところです。具体的には、「自社と同規模のWebサイト制作の実績があるのか」「制作したWebサイトで成果が出ているのか」といった点に注目するとよい可能性があります。

7.まとめ

専門的かつ意思決定に時間がかかるBtoB製品・サービスだからこそ、ブランディングの確立が大切です。ブランドの発信にはさまざまな媒体・手法が用いられていますが、長くWebサイトを軸とした認知拡大やリード獲得が主流となっています。Webサイトの制作を行う時は、自社と一緒になってブランドの価値を高める提案が可能なパートナー探しを意識すると成果につながる可能性があります。

ブランディング

Webサイト制作・構築を通じて、さまざまな領域のブランディングを手掛けてきた実績を活かし、お客さまのブランディングを推進します。