コーポレートサイトのリニューアルの進め方と考えたい5つのポイント
コーポレートサイトのリニューアルは、時代や訪問者のニーズに合わせて新鮮さを演出しながらも、同時にこれまでのステークホルダーとの関係性・継続性も意識する必要があるため、コンセプト設計やデザイン・コンテンツ制作・メンテナンスといった工程は慎重に進める必要があります。スムーズにリニューアルを進め、理想とするコーポレートサイトに仕上げるには、目的や制作手順、注意点を押さえることが大切です。
コーポレートサイト制作について
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目次
1.そもそもコーポレートサイトとは何か
コーポレートサイトとは、企業が自社の情報を紹介するために公開するWebサイトを指します。
コーポレートサイトは、顧客・取引先、社員・求職者、投資家といったさまざまなステークホルダーに向けて公開するもので、自社の企業理念や活動状況、製品・サービスを紹介するWeb上の企業の顔とも呼べる存在です。
2.コーポレートサイトのリニューアルを検討する目的
コーポレートサイトをリニューアルして効果につなげるには、まずコーポレートサイトをリニューアルする目的を整理しておくことが欠かせません。ここでは、コーポレートサイトをリニューアルする際の、主な目的・狙いを紹介します。
2-1.時代に合わせたWebサイトにするため
1つ目は、時代の流行に合わせたデザインや設計にアップデートするためです。
Webデザインのトレンドは時代とともに変化し、移り変わりの激しい昨今の社会環境においては、それが加速しています。内容がいくら素晴らしいものであっても、一目見て古さを感じさせるデザインは、いわゆる直帰(最初の1ページのみ閲覧しただけで離脱する)を誘発するばかりか、企業のイメージダウンにもなりかねません。
新しい技術を積極的に取り入れることは、先進性の演出やユーザー体験(UX)の向上にもつながります。時代に合わせたデザインのトレンドや新技術をWebサイトに反映することは、リニューアルにおける必須のポイントといえます。
また、レスポンシブ対応も時代に合わせるための重要なポイントになります。「レスポンシブデザイン」とは表示する画面のサイズに合わせてページレイアウトを最適化するデザインのことで、PCやモバイル端末など表示画面が変わっても見やすいように文字や間隔などが最適化されるデザインです。
コーポレートサイトはtoC特化サイトと比べてPCでの訪問が多めのケースもありますが、モバイル端末でのブラウジングが主流となったいま、レスポンシブデザインに対応すべきか検討しておく必要があります。
2-2.アクセス数の維持・向上のため
情報が更新されないサイトは検索エンジンのアルゴリズム上、評価が落ちて検索順位が下がる傾向にあります。また、検索エンジンのアルゴリズムは定期的にアップデートが行われ、評価基準が変わります。そのため、検索エンジンのアルゴリズムに沿うような形で定期的にリニューアルすることで検索順位の向上やアクセス数の増加が期待できます。
さらに、デザインや機能が古く、時代にそぐわないWebサイトでは、そもそもユーザーが訪問してくれなくなります。それに対し、UI/UXが優れているサイトであれば、ユーザーに「何度も訪問したい」と感じさせリピートを誘うことで、結果的にアクセス数が向上します。
2-3.最新技術を反映させるため
IT分野における技術革新は日進月歩の勢いであり、WebブラウザのアップデートやWeb開発手法の進化・多様化など、Webサイトにまつわる技術についても例外ではありません。Webサイトの重要性やユーザーの利便性を第一に考える際、そういった最新技術を取り入れることは、もはや避けて通れない状況です。
また、セキュリティ対策も今や必須で、最新の対策を常に反映させることで、Webサイトの信頼性・安全性を強固に保つ必要があります。
3.コーポレートサイトのリニューアルの進め方・手順
コーポレートサイトのリニューアルの手順について具体的に解説します。
3-1.現状分析・改善点の洗い出し
まずはリニューアルの方向性や目標を定めるためにも、現状のコーポレートサイトにおける分析と改善点の洗い出しを実施します。
これらは、デザインや機能性、数値指標など、さまざまな観点から行うのがポイントです。例えば、検索セッション数やPV(ページビュー)数、多く閲覧されているページの特徴、訪問ユーザーの属性といったアクセス状況も分析することで、リニューアルの方向性が少しずつ見えてきます。
また、競合サイトとの比較・検討も行うことで、自社サイトの長所・短所が明確になります。そのうえで、リニューアルにおいて差別化を図るべく、改善点を洗い出しましょう。
なお、リニューアルの方向性を定めるために検討したい具体的なポイントについては後述します。
3-2.目標・KPIの設定
現状分析や改善点の洗い出しが終わったら、それらを踏まえながら、具体的な目標やゴール、その途中過程の指標となるKPIを設定します。
明確な目標やゴールを定めることで、それを細分化したさまざまなKPIが見えてきます。例えば、「自社の認知度を高めたいので訪問者数をKPIとする」「売上や利益をアップさせたいので問い合わせフォームのアクセス数や実際の問い合わせ数をKPIとする」といった具合です。
目標やゴールが明確であるほど、KPIも設定しやすくなります。上述の例のように、売上や利益のアップを目標として掲げるのであれば、「具体的にどの水準を目指すのか」「何%アップを狙うのか」などを明確にしたうえで、ゴールを達成するためのKPIを考えるとスムーズに進められます。
3-3.デザイン・コンテンツ制作
これまでの手順で検討した内容を基に、実際のデザインやコンテンツの制作に入ります。
デザインの本質は、表面的な見た目だけを追求するのではなく、そのWebサイトのメッセージを引き出し、価値あるユーザー体験を創出することにあります。それに加えて、コーポレートサイトのデザインにあたっては、CI(コーポレートアイデンティティ、企業の独自性や統合理念)に沿うことが不可欠です。
また、コンテンツ制作も、CIに沿う必要があります。企業理念・代表メッセージ・会社概要・事業やサービスの紹介などを、デザインの本質やCIに込められた思想を意識しながら、テキストや画像、動画などの要素で表現します。
3-4.リニューアルのお知らせをする
コーポレートサイトのリニューアル直後は、アクセスアップや認知拡大を図る絶好のタイミングとなります。Facebook・Twitter・InstagramといったSNSでの投稿や、プレスリリースの発信などによって、リニューアルを告知することが重要です。
特にSNSを活用すると、拡散による露出効果が期待できます。そのためには、ただリニューアルした事実のみに言及するのではなく、追加したコンテンツや進化した機能などもアピールし、ユーザーに魅力を感じてもらえるような工夫が必要です。
4.コーポレートサイトのリニューアルで考えたい5つのポイント
集客力向上、ビジュアルやコンテンツの一新、売上貢献、ブランディングなど、企業の顔であるコーポレートサイトをリニューアルする理由や目的はさまざまでしょう。目的を達成するために必要な情報や、取り組み方に正解はありませんが、「顔をリニューアルする」という意識から、Web担当者が、デザインや機能、コンテンツに興味・関心を奪われてしまい、それ以外の点に意識が回らないというケースもあり得ます。
ここでは、コーポレートサイトリニューアルの際に押さえておくべき5つのポイントをご紹介します。
4-1.自社の強みを明確にして、コーポレートサイトの骨組みを堅実にする
自社の競合優位性は技術力か、提案力か、それとも変化する環境にも柔軟に適応し続ける人材力か。まず、自社の特性と向き合い、自社が持つ強みを明らかにする作業を行います。
明確になった競合優位性は、他社にはない技術力、あるいは柔軟な提案力かもしれません。より突き詰めた結果、技術力や提案力を生み出している人材(人財)に、あるいは、別の何かに辿り着く可能性も大いにあります。それほどに、企業が持つ強みの幅や深さを明確にすることは大切なステップです。
強みを明確にすることで、発信する情報の軸が見えてきます。この軸に沿って「何を伝えるか、そのためには何を見せなければならないか」を整理していくことで、徐々に構造やコンテンツ、必要となる機能が具体化し、コーポレートサイトの骨組みが見えてきます。
また、強みを明確にすることは、プロジェクト関係者全員の意志統一や、デザイン、コンテンツを考える際の拠り所としても強力に機能します。
4-2. カテゴリ・コンテンツの役割を定める
コーポレートサイトに掲載するカテゴリやコンテンツの役割は、慎重かつ拠り所を明確にしたうえで決定しましょう。特に、「誰に」「何を」「どのように」伝えるかを見定め、検討するのが有効です。
自社の伝えたいことだけをまとめてコンテンツを作成しても、ユーザーが興味・関心を寄せなければ意味がありません。資料請求や新規お申込みなど、次年度の予算編成に影響を及ぼす場合もあるため、明確なコンバージョンを設定している際は尚更です。
カテゴリやコンテンツが役割を果たしているかどうかを、数値として確認できるのはサイト構築・運営後となります。そのため、あくまでも仮説となりますが、実際の数値データや実例を参考に取り組むことが大切です。
解析から得られた動向などは積極的に活用しましょう。また、普段から第一線でお客様と接する社員から集めた生きた声を取り入れて、ユーザーを類推することも大切です。導き出された傾向をもとに優先順位や訴求の強弱を整理することで、より具体的に、カテゴリ、コンテンツの役割が見えてくるでしょう。
4-3. 複雑な構造化、過剰な機能化は避ける
ユーザーに少しでもサイト内に留まってもらうために、離脱しない構造や機能は不可欠です。しかし、過度な作り込みは逆効果を招くため、欲張りすぎない意識も求められます。
必要以上に情報や機能を詰め込み過ぎたサイトは、逆に、ユーザーに不快感を与えてしまう、いわゆる「ユーザー体験の低下」を生み出してしまいます。特に以下のような状況は、企業にとってもユーザーにとっても望ましくありません。
- 情報過多なため、ユーザーがより簡易に情報収集可能な他社のコーポレートサイトに移った
- 回遊を繰り返す過程で、ユーザーが当初に求めていた情報を見失い、混乱の末、離脱してしまった
機能を充実させるのは、サイト公開後の効果測定データを基に、ユーザー動線を見定めてからでも遅くはありません。運用開始後に、小さなゴールを1つひとつ設け、長期的な視野で段階的に機能を増やしていくほうが、より良い結果につながる場合もあります。
4-4. 対象とするユーザーの利用シーンに応じたデバイス対応を
スマートフォンなど昨今の閲覧環境の多用化は、Webサイトの表現方法に大きな影響を与えました。そのため、ユーザーの利用シーンに応じたデバイス対応が求められています。
また、Googleが「モバイルファーストインデックス」を発表したことに伴い、これまではパソコンとスマートフォンで情報を分けていた企業は、閲覧環境ごとでの情報の取捨選択・見せ方を検討する必要があります。
「オフィスまでの道順を知りたいユーザーのスマートフォンには、何を表示すべきか?」「お問い合わせフォームを最後まで入力してくれるのは、パソコンユーザーか?それとも、スマートフォンユーザーか?」こうしたことを検討することは、今後ますます重要となります。
選択肢は1つではありません。掲載する情報の属性や情報量、具体的なお客様像と利用シーンを考慮したうえで閲覧環境を見定めた対応が大切です。
4-5. ビジュアル表現は、自社の実体や将来のイメージが伝わるものを
映像あるいは写真、どちらを選択するかも含め、自社の実体を表現できる最適なビジュアル・手法を見定めることも重要です。
コーポレートサイトにおいて、ビジュアル表現の訴求力や分かりやすさは絶大です。発信者側の想いをストレートに示す重要な要素といえます。反面、自社をよく見せたい気持ちが勝り、実態と乖離した表現を用いると、その姿をユーザーは貴社の「実態」ととらえてしまうことにもなります。
現実に沿ったイメージ、これから進んでいきたい方向性と合致するビジュアルとなるよう綿密に検討したほうがよいでしょう。
5.コーポレートサイトのリニューアルにかかる費用の相場
コーポレートサイトのリニューアルにかかる費用は、サイト規模やリニューアル範囲、コンテンツ量やデザインなどの要素によって大きな幅があります。
部分的なリニューアルやテンプレートを使う場合は工数が抑えられる場合もありますが、「CI/VIの刷新・強化に向けてUI・デザインを全面的に見直したい」「大量のトラフィックも想定して、Webサイトの低負荷化・高速化を実現できるようシステム面の改善も図りたい」といった場合は費用に反映される可能性があります。
費用の相場の詳細は以下の記事にて紹介しておりますので、気になる方は以下をご確認ください。
コーポレートサイトを外注する時の制作費用相場と5つの主な価格変動要素
6.コーポレートサイトのリニューアルの成功事例
コーポレートサイトのリニューアルの事例として、「JFEシステムズ株式会社」と「株式会社誠文堂新光社」の2社を紹介します。
6-1.JFEシステムズ株式会社
JFEシステムズ株式会社は、ターゲットを30代前半以下の若手に設定し「人と技術力を訴求する」をコンセプトに設定してコーポレートサイトのリニューアルを実施しました。
製品・サービスページでは、注力製品・サービスの訴求は最低限にし、タグ機能などを用いてユーザーを目的のページへスムーズに誘導できるよう設計。導入事例ページでは、各事例・コラムの内容を分かりやすく提示し、興味喚起・目的のページへの誘導につなげました。
また、リニューアル時はIR情報ページも刷新。同社の財務状況や業績の紹介ページではグラフィックを多用して視覚的に分かりやすいように整えました。
前回のリニューアルプロジェクトで得た期待を上回るコーポレートサイトを実現。前回に引き続き、今回も社内外の賞を受賞
6-2.株式会社誠文堂新光社
株式会社誠文堂新光社では「ユーザーの書籍情報取得を邪魔することなく誠文堂新光社とはどんな出版社かをさりげなく気付かせるサイト」をテーマに、「フレッシュ」「モダン」「絵で伝わる」をデザインコンセプトに据えてコーポレートサイトをリニューアルしました。
具体的には、トップページや全体のカラーリングはフラットかつ新鮮な印象のあるキーカラーと白で表現して、趣味性が強く嗜好の異なるさまざまなユーザーが訪問するサイトとして、特定ジャンルのイメージがつかないように配慮して制作しました。
上記リニューアルの結果、コーポレートサイトの閲覧数や滞在時間は全体的に向上し、特に製品詳細ページでは平均ページ滞在時間やランディングページの閲覧数が大幅に増加しました。
ユーザー視点に立ち、「今あるべき出版社のWebコミュニケーション」を具現化するコーポレートサイトを構築
7.コーポレートサイトのリニューアルを検討する際の注意点
ここまでコーポレートサイトのリニューアルの手順や押さえておくべきポイントなどを紹介してきましたが、コーポレートサイトのリニューアルにあたっては、設計や実装を担うWebサイト制作会社選びも重要になります。
コーポレートサイトは、先述の通り「企業の顔」であり、顧客・取引先や従業員・求職者、投資家といったさまざまなステークホルダーに向けて情報発信する媒体です。そのため、デザインやシステム開発といったどこかの領域に特化している制作会社というよりも、企画コンセプトの提案やマーケティング戦略を踏まえたサイト設計など、Webサイト制作を総合的に進められる会社を選ぶとよい可能性があります。
8.まとめ
コーポレートサイトのリニューアルの流れは、その他のWebサイト制作・リニューアルの流れと大きく変わるわけではありません。ただし、コーポレートサイトは「企業の顔」であり、またこれまでの企業イメージやCIとの整合性、ステークホルダーとの関係も踏まえて、特に慎重に企画・コンセプト作りから行う必要があります。
コーポレートサイトのリニューアルにあたって理想を実現するには、制作を担う制作会社選びも重要です。「自社の要望・進め方への理解度を重視したい」「自社の想定している完成イメージにマッチする成果物が期待できるか知りたい」といった場合は、コミュニケーションの質や制作実績などのポイントを見て制作会社を検討するのも1つの手です。
コーポレートサイト制作
ターゲットユーザーすべてを見据え、競合他社を圧倒する企業・サービスのブランディング確立を目的としたコーポレートサイトを制作します。